青い星の弧が物語る銀河の共食い

【2002年10月16日 NOAO Press Release

アメリカの国立光学天文台(National Optical Astronomy Observatory)から、ケンタウルスAという有名な電波銀河の中心付近を観測した写真が公開された。淡い弧状に並んだ青い星々は、この銀河で最近(そして天文学的に言って我々のとても近くで)起こった銀河同士の共食いの証拠である。

(ケンタウルスA中心部の写真)

ケンタウルスAの中心部。右上の黄色い矢印で示されたところに弧状に並んだ青い星が見られる(提供:JHU / NOAO / AURA / NSF

ケンタウルスAは約1,000万光年離れたところにあり、写真では中央を横切る暗い帯が印象的な銀河である。観測結果によると、ケンタウルスAは2億年から4億年前に矮小銀河(小さな銀河)を飲み込み、長さ2,000光年にも及んで弧状に連なる若い星々ができたようだ。また、銀河の周辺に広がるハロと呼ばれる部分の形成に小さな銀河が大きく関わっていることの証拠も浮かび上がってきた。

弧状の構造があることは以前からわかっていたが、研究グループは構造の色の違いから弧の部分だけを取り出し、その年齢や力学的進化の過程を調べた。そして、弧の部分がその周りとは違う形成過程をたどったことを突き止めた。どうやら矮小銀河が親銀河に落ち込んでくる時の軌道に沿って爆発的な星形成が起こり、星が並んでいるようだ。

銀河のハロに関しては、私たちの天の川銀河系やアンドロメダ大銀河に見られるハロが主に年老いた星でできているのに対してケンタウルスAのハロは若い星でできているという違いがある。ハロが矮小銀河の落ち込みによって形成されることを考えると、私たちの銀河系などには年老いたガスの少ない矮小銀河が落ち込み、一方ケンタウルスAには若くてガスの豊富な銀河が飲み込まれたのだろう。