新しく見つかった地球の月はアポロ計画のロケットか?

【2002年9月13日 BBC NEWS

今月初めにアメリカのアマチュア天文家が見つけた天体が、軌道計算の結果、地球の周りを周回していることがわかった。人工物でなければ地球の新しい衛星となるが、どうやらアポロ計画の際に使われたロケットの残骸である可能性が高いようだ。

この天体は、今月3日にカリフォルニアで観測したヤング氏(Bill Yeung)が発見したものである。J002E3という仮の名前が付けられたこの天体は当初は小惑星だと思われていたが、その後、観測数が増えて詳しい軌道を計算した結果、地球を50日程度で周回していることがわかった。

過去にさかのぼって軌道を計算したところ、J002E3は今年4月頃に太陽を周回する軌道から地球周回軌道へと移ってきたらしいことが明らかになった。地球の重力と太陽の重力が釣り合う点をラグランジュ・ポイントと呼ぶが、この点の近くを天体が通った際に軌道が変わってしまったようである。

もしJ002E3が人工物でなければ、地球の新しい衛星ということになる。地球には月のほかにCruithne(小惑星3753)という小惑星の衛星(ただし軌道は円ではなく非常に複雑な形をしている)があるが、これに続く3つ目の自然衛星になると可能性があるということだ。しかし、J002E3の軌道をさらに計算したところ、アポロ計画でアポロ宇宙船を月の軌道へ乗せたロケット「サターンV」の3段目である可能性が高くなってきた。

現在までにわかっている軌道によれば、J002E3は20%の確率で来年中に月へ衝突するか、あるいは3%の確率で10年以内に地球の大気圏に突入するということだ。

なお、横浜こども科学館のサイトでは、J002E3が地球を周回するようすのシミュレーションを動画で見ることができる。

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