NASA、ネットオークションでスペースシャトル用の古い部品を調達

【2002年5月14日 The New York Times on the Web

NASAがインターネットオークションe-Bayで「インテル 8086」などかなり古いコンピュータ部品を調達していたことがわかった。

報道されたところによると、ネットオークションで購入されたのは使われなくなった旧式の医療機器で、その機器に使われていたインテル製8086プロセッサが必要だったようである。他にも回路基盤や8インチフロッピーディスクドライブなども購入された。これらの部品はスペースシャトルの点検をするための装置などに必要なもので、スペースシャトル本体に使われるわけではないが、いずれにせよスペースシャトルを安全に運用するためにはなくてはならないものである。

月に人を送り、数多くの衛星を打ち上げてきたNASA。かつては、それらの宇宙船や衛星に使われる電子機器は「軽さ、小ささ、速さ、効率の良さ、そして万全の信頼性」を追求してNASAが研究と開発を重ねてきたもので、60年代にはNASAはチップ開発の主導的役割を担っていた。しかし、いまや民生の部品の開発速度は非常に速く、スペースシャトル(の点検用機器に使われるコンピュータ)はすっかり時代遅れになってしまった。NASAやその下請け業者は大急ぎで代用部品を探す羽目になっているのだ。

こういった古い部品を探すのにインターネットオークションが使われるというのもまた時代の流れといえるだろう。以前なら職員が古いカタログをめくって部品を探し出し、業者に電話して部品があるかどうか調べるところだ。とはいえ、このような方法でいつまでも部品が調達できるという保証もない。

スペースシャトルは10年は使えるように設計されているが、1981年に初めて打ち上げられて以来すでに20年以上が経過しており、さらに少なくとも2012年までは使用される予定らしい。その上さらに2020年まで使えないかどうかという検討までされているとのことだ。部品探し担当の職員の苦労は当分続きそうである。

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