池谷・張彗星は、877年にも出現していた?

【2002年3月4日 アストロアーツ】

イギリスのJonathon Shanklin氏によると、池谷・張彗星は、877年2月に見られた彗星との同定が指摘されている。福島県の佐藤裕久氏の調査によると、877年の彗星は、日本では陽成天皇の時代に「元慶元年正月25日(877年2月11日)、 酉刻客星壁ニ見ハル」として『三代実録』、『日本紀略』、『一代要記』や『明月記』に記録があることがわかった。

村岡健治氏は、池谷・張彗星の観測と1661年に出現した彗星(C/1661 C1)を連結した軌道から、紀元前1500年までの過去軌道を計算したところ、3公転前の877年8月に近日点を通過した軌道が求まった。

出現記録とは、近日点通過日に6ヶ月ほどの隔たりがあるが、現時点の観測から求めた過去軌道は、数ヶ月以上の周期の誤差がある。

今後、池谷・張彗星の位置観測がさらに増え、軌道計算の精度が上がっていくことによって、877年の彗星との同定も明確になるかもしれない。

池谷・張彗星の過去軌道
回帰 近日点通過日
TT
近日点引数
(度)
昇交点黄経
(度)
軌道傾斜角
(度)
離心率近日点距離
(AU)
周期
(年)
元期
-2 1273 Mar. 29.487 35.09993.30028.048 0.990440.51853 399.61273 Apr. 10
-3 877 Aug. 7.891 35.17893.35627.991 0.990790.52442 429.9877 Aug. 7
-4 451 Nov. 8.368 35.32993.57827.875 0.991480.53694 500.5451 Oct. 23
-5 -60 Feb. 2.00 35.4393.4327.77 0.99200.5446 558.7-60 Jan. 19
-6 -604 Dec. 16.63 36.1793.4327.41 0.99340.5605 791.5-604 Dec. 20
-7 -1404 Aug. 27.49 36.0493.5127.46 0.99350.5650 810.2-1404 Aug. 22