肉眼彗星になるか、リニア彗星

【2001年11月8日 国立天文台天文ニュース (493)

リニア彗星 C/2000 WM1(写真提供:門田健一、2001 年 11 月 6 日撮影)

リニア彗星のひとつであるC/2000 WM1(LINEAR)の明るくなる時期が近付きました。もっとも明るいときでもほぼ5等程度と思われますから、空の良いところで、辛うじて肉眼で見えるといったところでしょうか。双眼鏡、小望遠鏡には手頃の観望対象です。

リニア彗星(C/2000 WM1)の発見については、昨年末、天文ニュース(405)でお知らせしました。MPECに示されている軌道要素によりますと、この彗星は11月上旬にはほぼ8等の明るさで「ペルセウス座」に見えます。その後「おひつじ座」を通り、12月2日には0.316天文単位でもっとも地球に接近します。このときの光度は5.8等程度と推定され、「うお座」から「くじら座」にかけて移動しているところです。このころは日本では夕方の東の空に現われ、その後ほぼ一晩中見えています。その後、「つる座」から「インディアン座」へと南へどんどん移動し、2002年1月22日に0.555天文単位の距離で近日点を通過します。このときはおよそ5等の明るさですが、日本からは大変見難い位置になります。

このリニア彗星は、きたる12月始めから来年1月いっぱい、ほぼ5等台の明るさで推移します。日本では、11月下旬から12月始めまでが観測しやすい期間でしょう。

MPEC 2001-U43によるリニア彗星(C/2000 WM1)の位置予報はつぎの通りです。

日付 赤経(2000.0)赤緯 地心距離日心距離 太陽離角 明るさ
AUAU
2001 Nov.12 350.03+4413.7 0.5881.534 152.0 8.2
22 246.63+3058.8 0.4021.375 162.0 6.9
Dec.2 125.17+0123.9 0.3161.214 130.0 5.8
12 007.45-2914.4 0.3811.051 89.2 5.6
22 2304.78-4458.9 0.5270.889 64.0 5.6
2002 Jan.1 2210.38-5211.3 0.6930.738 48.6 5.4
11 2115.53-5437.2 0.8550.616 38.4 5.1
21 2023.55-5231.7 0.9980.557 32.6 5.0
31 1948.30-4625.3 1.1080.587 31.9 5.4
Feb.10 1931.98-3825.3 1.1790.693 36.0 6.3
20 1926.06-3006.6 1.2170.837 43.1 7.2