ミールコープ社、初の民間宇宙ステーションを建設?

【2001年9月11日】

ミールコープ社 (本社=オランダ) は9月4日、世界初の民間宇宙ステーションの建設計画を発表した。すでに、基礎研究を行なうことについて、ロシア宇宙庁およびエネルギア社 (「ミール」の建造・運用元) と契約を締結済みという。

この宇宙ステーションは、3人の乗り組み員が最大20日間滞在することが可能な小型ステーションで、現在のところ「ミニ・ステーション-1 (Mini Station 1)」と呼ばれている。2004年の完成を目指し、耐用年数は少なくとも15年。建造費は約1億ドル (約120億円) 程度と見積もられている。そして、運用費は、宇宙旅行客の旅費などで賄うことになる。ミールコープ社によると、すでに数名の顧客がこのステーションへの旅費を支払う意志を示しているという。

計画によると、ミニ・ステーション-1 へは、ロシアの3人乗り宇宙船「ソユーズ」で向かうが、このソユーズはそこで2週間程度滞在した後、今度は「国際宇宙ステーション (ISS)」へ向かう。そして、ISSにドッキング中だった古いソユーズ――ソユーズは緊急脱出用としてISSに常時ドッキングしていなければならないが、6か月ごとに新しいものと交換する必要がある――に乗り換え、それで地球に帰還することになるという。つまり、ISSのソユーズ交換フライトのついでにミニ・ステーション-1 に寄るというわけだ。低コスト化のための面白いアイデアであるといえる。

もっとも、ロシア宇宙庁のスポークスマンは、「我々が締結した契約は、あくまでステーションの実現可能性の研究に関するものに過ぎません。具体的なことはまだ何一つ決まっていないのです。」と警告している。

なお、ミールコープ社では「ミニ・ステーション-1」の完成までの期間についても、NASAやヨーロッパ宇宙機間、その他の計画参加各国の理解と協力のもと、ISSを利用した商用事業に取り組んで行く計画であるという。

ミールコープ社は、ロシアの宇宙ステーション「ミール」(2001年3月に廃棄) の民間利用を事業とする国際ベンチャー企業として1999年末に設立され、世界初の宇宙観光旅行者としてISSに滞在したデニス・ティトー氏の仲介を行なった等の実績を持つ。

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