[VLT] C/2001 A2 リニア彗星の3つめの分裂核を検出

【2001年5月18日 ESO Press Photos 18a-b/01 (2001.05.18)

4月末に核が2つに分裂したリニア彗星 (C/2001 A2) だが、ヨーロッパ南天天文台 (ESO) の8.2メートルVLT YEPUN望遠鏡による5月16日の観測により、2つに分裂した核のうち一方がさらに2つに分裂していることがわかった。なお、姉妹機である8.2メートルVLT MELIPAL望遠鏡による5月14日の観測では、B核がやや細長く延びたようになっているのが観測されていた。今回の発見については、IAUC7627に詳しく報告されている。

3つに分裂したリニア彗星 (C/2001 A2) の核

3つに分裂したリニア彗星 (C/2001 A2) の核。左上がA核、右側に2つ並んだものがB1・B2核。B1〜B2核の離角は1秒角 (3600分の1度) ほどで、距離すると約500キロメートルに対応。A核〜B1・B2核の距離は7000キロメートルほど。5月16日、VLT YEPUNによる撮像。赤フィルター使用、露光1分。

Credit: ESO

彗星の核が分裂すると、彗星内部に含まれていた揮発成分の蒸発により、彗星の光度が増加することが多い。4月末の1回目の分裂の際には、大きな光度増加が見られており、今後の光度変化も大いに注目される。

現在すでに全光度5等級 (IAUC7625) と肉眼等級に達しているリニア彗星だが、残念ながら今は「うさぎ座」にあって南半球からしか観測できない。5月25日には近日点を通過、その後6月下旬からは、日本でも明け方の東の空で見えるようになる。そのときにいったい何等でなって見えるのだろうか? はたして肉眼等級を維持したまま日本の空に現われてくれるのか? もしかしたら昨年のリニア彗星 (C/1999 S4) のように近日点通過時にすっかりバラバラになって消滅してしまうのか? ますます目が離せないリニア彗星の動向に注目したい。

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