新たに11個の系外惑星

【2001年4月12日 国立天文台天文ニュース (431)

11個の系外惑星の発見が新たに報じられました。そこには2個の惑星をもつ系が二組あり、また、生物の生存可能帯に存在する惑星もあります。

今回の発見は、スイス、ジュネーブ天文台、フランスのグルノーブルおよびオート・プロバンス天文台、アメリカ、マサチューセッツ州ケンブリッジの天体物理学センター、イスラエル、テル・アビブ大学などのメンバーによる系外惑星捜索チームによるもので、今回惑星をもつとして報告された星は、HD8574、HD28185、HD50554、,HD74156、HD80606、HD82943、HD106252、HD141937、HD178911B、HD213240の10個です。このうちHD74156とHD82943にはそれぞれ2個の惑星があります。この全部を合わせると惑星は12個になりますが、HD82943にひとつ惑星のあることは以前からわかっていましたから、新発見が11個と発表されたのです。HD82943の惑星は、公転周期がそれぞれ221日と444日で、1対2の平均運動共鳴関係にあります。この11個を加えて、これまでに発見された系外惑星の総数は67個になりました。そこに2個以上の惑星をもつ系が6組含まれています。

HD28185は「エリダヌス座」にある7.8等星で、その惑星は中心星から約1天文単位の距離を、円軌道で、ほぼ1年に近い385日の周期で公転しています。中心星が太陽に近いG5型星ですから、この惑星の存在環境は地球に似ていて、いわゆる生存可能帯にあると考えられます。ただし惑星自体は木星の3.5倍の質量をもつガス惑星ですから、そこに直接生物は生存できません。しかし、仮にその惑星に衛星があるなら、その衛星には、地球上にあるような生命が存在できるかもしれません。

HD80606は「おおぐま座」にある8.9等のG5型星で、その惑星軌道の離心率は0.927もあり、非常に細長く伸びた軌道です。惑星は中心星に0.0033天文単位にまで近づき、0.85天文単位にまで遠ざかります。公転周期は112日です。

系外惑星を検出するには、中心星の視線速度の変化状況を高精度に観測することが必要です。これらの惑星は、チリ、ラシラにあるヨーロッパ南天天文台の口径1.2メートル、レオナルド・オイラー望遠鏡、ハワイのケック望遠鏡などに、高精度に視線速度を観測できる特殊の分光器を装着して観測されたものです。捜索チームによって、今後さらに、数多くの、さまざまなタイプの系外惑星の発見が期待されています。

<参照>

<アストロアーツ・ニュース>