NASDAの宇宙でのアンテナ展開実験の失敗原因が判明

【2001年3月8日 宇宙開発事業団 (2001.03.07)

宇宙開発事業団 (NASDA) は、3月7日開催された宇宙開発委員会において、2000年12月に実施されたアンテナ展開実験の失敗原因について報告した。

NASDAは2000年12月、技術試験衛星VIII型(ETS-VIII)(2003年打ち上げ予定) に搭載される大型展開アンテナの設計の妥当性を確認するため、アンテナの小型の部分モデル (LDREX) を実際の宇宙環境で展開させる実験を実施した。

実験は、LDREXをロケットに取り付けた状態のままで行なわれたが、アンテナが約5度 (半頂角) 開いたところで展開が停止した。20分間そのままの状態にあり、その後計画に従ってロケットから分離されたが、その直後に展開が再度始まった。そして約40度まで展開したことが確認されたが、ロケット上に設置されたカメラの観測視野から外れたため、最後まで展開したかどうかは確認できなかった。

今回のNASDAの報告によると、この失敗の原因は、保護用のメッシュがアンテナに引っかかってしまったことである可能性が高いという。そして、ロケットから分離される際の振動により引っかかりが外れたため、分離後に再度展開が始まったと考えられるということだ。また、メッシュが引っかかった原因については、アンテナを固定していたバンドを解放した際に、地上試験では再現できない予期せぬ振動が発生した可能性を指摘している。

NASDAでは今後、設計改良等の対策を明らかにして、詳細設計段階にあるETS-VIIIに反映するとともに、小型部分モデルでの宇宙実験を再度行なうことについても検討する。