極紫外線観測衛星EUVE、ミッション終了

【2001年2月8日 Spaceflight Now (2001.02.02)

世界時1月31日、NASAの極紫外線観測衛星EUVEは、管制室からの指令により待機モードに切り替わった。これにより、EUVEはその任務を終えた。最後の科学観測から3日後のできごとだった。

1992年7月にデルタ-2ロケットにより低軌道に打ち上げられたEUVEは、紫外線とX線の中間波長である極紫外線 (波長7ナノメートル〜70ナノメートル) を観測するはじめての科学衛星だった。

天文学者たちははじめ、極紫外線での観測には無関心だった。なぜなら極紫外線は、地球大気により強く散乱・吸収されるため地上からは観測できないだけでなく、恒星間の宇宙空間に広く分布する水素ガスによっても吸収されやすいため、宇宙空間からの観測でも霧の中で何かを見ようとするようなものであり、太陽系の近くにあるわずかな天体しか観測できないだろうと思われていたためだ。

しかしその後、恒星間の水素ガスは思ったほど濃くはないらしいこと明らかになり、また検出器の技術も向上してきたことから、EUVEが実現した。

いざEUVEが観測をはじめると、恒星間空間は考えられていたよりもずっと極紫外線を透過しやすいことがわかった。イオン化している領域については極紫外線は吸収されにくいこともあり、EUVEは2回のミッション延長を経て、現在までに1000個以上の極紫外線源を発見した。その中には、銀河系外のものも30個以上含まれていた。また、太陽風と彗星が放出する物質との干渉により生じる軟X線を検出するなどの成果も得た。

大成功を収めたEUVEの状態は現在も良好で、科学観測をあと1年間は続けられる状態にある。しかし、これ以上ミッションを延長しても、コストに見合った成果は得られないとの判断から、NASAはミッションの終了を決定した。EUVEは2001年終わり〜2002年始めに大気圏に再突入し、燃え尽きると推定されている。

なお、NASAはEUVEに代わる極紫外線観測衛星は今のところ計画していない。