マーズ・グローバル・サーベイヤーが主任務を完了

【2001年2月2日 NASA JPL Press Release (2001.01.31)

NASAの火星周回探査機「マーズ・グローバル・サーベイヤー (MGS)」が、2001年1月31日をもって当初予定された任務を全て完了した。引き続き、2002年4月までの延長ミッションにのぞむ。

MGSは1996年11月にデルタ-2ロケットにより打ち上げられ、1997年9月に火星に到着した。最初は楕円軌道だったが、火星大気を利用したブレーキにより軌道を少しずつ修正し、最終的には両極上空を通過する円軌道に乗った。そして1999年4月より主任務である火星マッピングを開始、1火星年 (686.98日) にわたって任務を続けてきた。

この任務期間の間、MGSは火星の気象や地形、地下資源などを調査し、火星の全地表について詳細な地図を作り上げた。

重要な成果は次のとおり。(リンクは関連するアストロアーツ・ニュース)

●火星の地表に近年まで液体の水が存在していたらしいという証拠を得た。

●初期の火星に存在した湖の跡と思われる堆積地形を発見した。

●南北両極の極冠とよばれる凍った地形に含まれる水の氷の量を初めて精度よく見積もった。それによると、南北両極の極冠には合わせてグリーンランドの1.5倍に相当する水の氷が含まれるらしい。

●火星の地表を全体としてみると、南極から北極に向かってなだらかな傾斜になっているということを発見した。この傾斜は、かつて水や堆積物の流れに深く関わっていたと考えられる。また、北半球にかつて海だった可能性のある広く平坦な低地を発見した。

●南半球に強く帯電した地殻を発見した。このことは、火星は誕生後早期に急速に冷えたらしいことを示唆するもので、火星にはその初期に暖かな気候が存在したのかもしれない。

●火星の地殻構造について初めて信頼できるデータを得た。これには、太古の衝突クレーターの発見や、北半球の地下に埋もれた水路の跡と考えられる構造の発見を含む。

●赤鉄鉱と呼ばれる鉱分を確認した。このことは、火星に過去、地球での生命誕生の現場に似た熱水環境があったことを示唆する。

●火星大気の活動についての理解を飛躍的に高めた。これは、サイクロンのような嵐の観測や、二酸化炭素や水の氷から成る雲のようすの観測を含む。

●ダストデビル (小規模の竜巻のような砂塵嵐) の跡、砂塵嵐、砂丘などを観測し、近年の火星の地表の変化における砂塵の影響に関する多くの証拠を得た。