技術的問題によりアトランティス号の打ち上げが延期の可能性

【2000年12月19日 SPACE.com (2000.12.19)

電気ケーブルの問題から、スペースシャトル・アトランティス号 (STS-98/国際宇宙ステーション組み立てフライト5A) の打ち上げが延期となる可能性が出てきた。アトランティス号は現在のところ、アメリカの実験棟「デスティニー (Destiny)」を国際宇宙ステーション (ISS) に運んで結合させるため、2001年1月18日に打ち上げられる予定となっている。

問題は、日本時間12月1日昼のエンデバー号 (STS-97/国際宇宙ステーション組み立てフライト4A) の打ち上げの際に発覚したもの。この打ち上げの際、エンデバー号の外部燃料タンクの左側の固体ロケットブースターを分離するための爆発ボルトへの起爆信号が届かず、爆発しなかったのだ。幸い、予備の起爆装置が働いたため、固体ロケットブースターは安全に分離されたものの、最悪の場合は5人の乗組員の人命ごとエンデバー号が失われるという大惨事につながりかねない問題だった。

これを受け、NASAでは打ち上げ準備中のアトランティス号の電気ケーブルの検査を行なった。そして、爆発ボルトへの起爆信号を伝えるケーブルに損傷があることが見つかった。さらに検査を続けた結果、ケーブル内部を損傷から守るためのケーブルの外層の強度が全く不足しているということが判明した。

NASAのミッション・マネージャーたちはおそらくケーブルの交換を決定することになると思われるが、交換作業のためにはアトランティス号とその外部燃料タンクをシャトルの移動台からいったん下ろす必要があるため、打ち上げは1週間またはそれ以上延期されることになるだろう。

このほか、先週には2001年2月15日打ち上げ予定だったディスカバリー号 (STS-102/国際宇宙ステーション組み立てフライト5A.1) が、姿勢制御用の小型推進器の交換のために3月1日まで打ち上げ延期となる決定もされている。ディスカバリー号は、「レオナルド(MPLM:多目的補給モジュール)」をISSに取り付けるほか、第2次滞在クルーをISSに届け、第1次滞在クルーを地球に帰還させることになっていたため、第1次滞在クルーの地球帰還は当初予定の2月26日から3月12日に延期されることになる。