[ESO] みなみのかんむり座の星生成領域

【2000年10月10日 ESO Press Photos 25a-b/00 (2000.10.6)

WFIが撮影したみなみのかんむり座R星集合体

「みなみのかんむり座R星集合体」(R Coronae Australis complex)と呼ばれるこの領域には、若い星が多く星間分子雲が散在しており、太陽系から最も近い星生成領域のひとつとして知られる。太陽系からの距離はおよそ500光年。

画像中央やや右上の明るい星が、この領域の名前の由来にもなっている「みなみのかんむり座R星」で、周辺の分子雲をやや赤みを帯びた光で照らし出している。その右下のもうひとつの明るい星は、「みなみのかんむり座TY星」。これら2つの星を含むこの領域のいくつかの星は、「おうし座T型星」という種類の変光星だ。「おうし座T型星」は恒星進化の初期段階にありまだガスやダストの降着円盤に覆われた状態の星であり、星生成領域ではひじょうにありふれたものである。

画像左下領域は極端に星が少なくなっているが、これは冷たいガスとダストの雲が背後の星々からの光を吸収しているためである。

この領域に見られる星雲は、ほとんど星からの光を反射して輝く反射星雲であり、星雲自身はあまり光を放っていない。星雲自身が光を放つためには、強力な紫外線を受けて電離される必要があるが、この領域の星々はあまり強い紫外線を放っていない。

WFIは6,700万画素のデジタルカメラである。リンク先ページにある画像「ESO Press Photo 25b/00」の「Full-Res」版は、この画像の一部をWFIがとらえたオリジナルの解像度で示したものだ。

2000年8月30日の撮影。Bバンドを青、Vバンドを緑、Rバンドを赤としたRGBカラー合成。各5分露光×4枚。WFIは8つのCCDチップで構成されているが、チップの間には隙間があるため、少しずつ視野をずらして撮影したコマを合成することにより隙間をキャンセルしている。画像の視野角は横33.7秒角×縦31.9秒角(1秒角=1/3600度)で、これは見かけ上の大きさではおよそ満月ほど、500光年先の実際の大きさではおよそ4.7光年四方に相当する。

Credit: ESO Education & Public Relations Department / Fernando Comeron