ラスコー洞窟の壁画に星が描かれていた
【2000年8月11日 BBC News (2000/8/9)】
有名なラスコー洞窟(フランス)の壁画に、星が描かれているのが発見された。この研究が正しければ、最古の星図の発見だ。
ラスコー洞窟の壁画は、1万6500年ほど前の氷河期に描かれたものであると考えられており、牛や馬、カモシカなどが描かれているが、この壁画に、「夏の大三角」と思われる明るい3つの星の並びと、「プレヤデス星団(すばる)」と思われる星の並びが描かれているのが発見された。
ドイツ・ミュンヘン大学のMichael Rappenglueck博士によると、壁画に描かれている「牛の目」「鳥人間」「棒の上の鳥」が、それぞれ「べガ」「デネブ」「アルタイル」を意味しているのだという。
この3つの星は、現在では北半球の夏の夜空で最も目立つ星たちであり、「夏の大三角」としてよく知られている。しかし、1万7000年ほど前は、地球の歳差運動による地軸のずれからこの3つの星はつねに地平線上にあり、初春の夜に最も高く昇る星たちであった。
「プレヤデス星団(すばる)」を表すと思われる点の並びは、ラスコー洞窟の入り口付近に描かれている、格調高い牛の絵の、肩のすぐ上に描かれている。さらに、その牛の絵の内部には、「プレヤデス星団(すばる)」の付近にある星たちを意味すると思われる部分がある。
現在では、夜空のこの領域は「おうし座」として知られる。人は、遥かな太古から、夜空のこの領域に牛の姿を思い浮かべてきたのだ。
Rappenglueck博士は、スペインのある洞窟に描かれた壁画にも、星の並びを意味する絵を発見している。
この洞窟は、Cueva di El Castillo洞窟と呼ばれる洞窟で、1万4000年ほど前に描かれたと思われる壁画が残っている。この壁画に、曲線状に並んだ点が描かれているが、Rappenglueck博士によるとこの点の並びは、現在「かんむり座」と呼ばれる星の並びを意味するのだという。
Rappenglueck博士の結論を知った他の考古学者たちは今のところ、Rappenglueck博士の解釈が合理的だと認めている。彼は、太古から人が夜空の星に思いを寄せていたということを発見したのだ。