HST、1998年のガンマ線バーストの母銀河を高解像度で観測

【2000年6月30日 ESA Science News (2000/6/27)

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)の科学者らが、NASAのハッブル宇宙望遠鏡(HST)を用いてESO184-G82と呼ばれる銀河の高解像度を得た。この銀河は地球から約1億4000万光の距離にあり、1998年4月25日に発生したガンマ線バーストGRB980425の母銀河として知られる。

HSTがとらえたESO 184-G82銀河。GRB980425の母銀河だ。右下は、GRB980425発生地点の拡大像

画像は、HST搭載の宇宙望遠鏡・分光撮像器(Space Telescope Imaging Spectrograph; STIS)により得られたESO 184-G82銀河。左は全体像で、右上はガンマ線バースト発生地点周辺を切り出したもの、右下は、右上の画像からガンマ線バースト発生地点のみを部分拡大したもの。左の画像はSTISのクリアーフィルターを通して撮影したもの。右2つの画像は、クリアーフィルターによる画像(青)と赤フィルターによる画像(赤)を合成して疑似カラー化してある。

2000年6月12日の撮影で、画角は左が横45×縦35秒角、右上が横13×縦7秒角、右下が横2×縦2秒角(1秒角=1/3600度)。

この画像から、この銀河は活発な星形成を行なっており、GRB980425の発生領域も星形成領域にあたるらしいことがわかった。

ガンマ線バーストは、短期間の間に莫大な量のガンマ線が観測される現象で、宇宙で最も大規模な爆発現象の一つとして知られる。その正体はいまだよくわかっていない。ガンマ線バーストは通常、非常に遠方の銀河に起源を持つらしいことが知られているが、GRB980425は比較的近くの銀河で発生し、直後にガンマ線バーストの位置に超新星が発見されたことで話題になった。

ガンマ線バーストの母銀河の高解像度画像が得られたのは初めてのことで、ガンマ線バーストに関するより深い理解のための重要な一歩だ。


画像提供:  ESA

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