97年のHSTによる系外惑星の候補天体の発見は否定的 (NASA)

【2000年4月10日 NASA (2000/4/6)

NASAのハッブル宇宙望遠鏡(HST)が1997年にある原始星系を近赤外観測した際、そこに惑星の可能性が持たれる天体が写っていた。しかし、最近の観測によると、結局それは惑星ではなかったようだ。

HSTがとらえたTMR-1C

米カリフォルニア州パサデナにある、太陽系外研究コーポレーション(Extrasolar Research Corporation)のスーザン・テレビーらが1997年8月4日にHSTの近赤外線カメラ兼多天体分光器(Near Infrared Camera and Multi-Object Spectrometer; NICMOS)を使って太陽系から450光年の距離にある原子2連星系TMR-1を撮影した際、連星から細く延びた光の筋の先端に淡く光る天体(TMR-1C)が写っていた(画像左下)。

そして1998年、テレビーらは、その明るさや光の筋で主星とつながっていることなどから、このTMA-1Cは木星の2〜3倍の質量を持つ原子惑星である可能性があると発表した。だが、単に背後の恒星が原子星系をとりまくダストによって暗く写っているだけという可能性もあった。

その後テレビーらはハワイ・マウナケア山頂のケック10m望遠鏡によりTMA-1Cをスペクトル観測したが、この結果が最近発表された。それによると、TMR-1Cが2700ケルビン以上の温度を持つことがわかり、これは、テレビーらが予想した大型原子惑星の温度よりもずっと高温であった。したがって、惑星ではなく背後の恒星である可能性が高いという。

背後の恒星であるかどうかは、TMR-1Cまでの距離が特定できれば結論付けることができるが、TMR-1Cのように淡い天体までの距離を特定することは難しい。テレビー氏は、自分たちが原子惑星の温度を予想するために組み立てた理論モデルはまだ信頼性に劣るものであるから、まだTMR-1Cが惑星である可能性は否定できないと警告している。だが同時に、現状においてはTMR-1Cが惑星であるという強い証拠は無いとも言っている。

現在多数の系外惑星が発見されているが、いずれも惑星と主星の重力による相互作用を検出するなどの間接的な方法で発見されており、直接検出にはまだ成功例は無い。

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