コンプトンにより新タイプのガンマ線源が発見された

【2000年3月23日 NASA Space Science News (2000/3/23)

NASAのガンマ線天文台衛星「コンプトン(Compton)」の観測により、我々の銀河系内には170の未確認ガンマ線源(ごく短い間に強力なガンマ線が観測される「ガンマ線バースト」とは異なり、継続的にガンマ線放射が観測されている)があり、そのうち半数が銀河面の細い帯域に分布していることがわかった。

これらの銀河面に分布するガンマ線源の正体は謎だが、単に星間ガスにより赤外線・可視光・X線が吸収されてしまっており、最も高エネルギーの光(可視光の数百万倍のエネルギーを持つ)であるガンマ線でしか観測できないというだけで、特に変わった天体ではないという可能性も考え得る。

しかし、他の半数は銀河面をやや離れた位置にあり、地球に比較的近く、星間ガスによる吸収の影響は考えにくいため、新たなタイプの天体であると考えられる。これらはグールド帯と呼ばれる、恒星が帯状に分布している領域に属しているようにも思える。

これら新タイプの天体の正体としては、粒子加速器として働くブラックホール、大質量の恒星、変種のパルサー群などが考えられている。

今回の発見はガンマ線天文学におけるひとつのブレイクスルーだ。そして2005年に打ち上げ予定の「GLAST(Gamma Ray Large Area Space Telescope=ガンマ線広域宇宙望遠鏡)」により、さらなるブレイクスルーが期待される。GLASTに搭載された機器は、コンプトンのものの50倍の感度を持つものになる。