カナダ・ユーコン州上空の流星爆発の残骸が回収された

【2000年3月17日 NASA Space Science News (2000/3/16)

1月18日、カナダ・ユーコン州上空に流星爆発が発生した。この爆発のエネルギーはTNT爆薬に換算すると2〜3キロトン程度だった。これにより発生した永続痕は45分以上にもわたって観測された。

そして爆発点付近の在住者がこの破片を発見、回収し、冷凍保存した。この破片は冷凍されたまま研究者に引き渡され、現在分析が進められている。このように新鮮なままの流星破片が回収されたのは初めてのことで、重要な成果が得られると期待されている。

これまでの分析の結果、これが炭素質球粒隕石であることがわかった。これは生物の基本物質である炭素と有機物を多量に含む希少なタイプの隕石。このタイプはもろく、大気圏突入時やその後の落下時に簡単に破壊されてしまうため回収は難しく、回収された全隕石の約2%に過ぎない。

NASAのジョンソン宇宙センターの宇宙鉱物学者でこの破片の一部を分析しているMichael Zolensky氏によると、このタイプの隕石が回収されたのは実に31年ぶりであるという。氏は、この隕石は約45億年前に形成されたと考えられ、地球や太陽や月の原材料となったと思われるもので、今回の発見により太陽系形成前の状態を覗く新たな窓が開かれたと語っている。

まだ分析は始まったばかりで、今後はこの隕石に含まれる有機物の分析が進められることになる。

<関連ニュース>
2000/ 2/ 1 カナダ・ユーコン州アトリン上空での流星爆発に伴う流星痕(続報)