HSTがとらえたオリオン座の反射光星雲NGC 1999

【2000年3月2日 NASA STScI-PRC00-10 (2000/3/2)

ハッブル宇宙望遠鏡により撮影されたオリオン座のNGC 1999星雲の画像が公開された。この星雲は自らは輝いておらず、近くの恒星に照らされることによって輝いている。この星雲のすぐ隣でハービッグ・ハロー(Herbig-Haro)天体(形成期の若い星からのガス・ジェット)が初めて発見されたため、この星雲は天文学史上では有名な存在だ。そのハービッグ・ハロー天体は、今回の画像のすぐ外に位置している。

ハッブル宇宙望遠鏡によるNGC 1999

画像中央やや左に見える恒星がNGC 1999を照らし出している。この恒星は白く輝いているが、これは約1万度という高い表面温度のためだ。これは、我々の太陽の表面温度の倍に近い。この恒星は非常に若いため、形成時に残された物質の雲によって取り巻かれており、これがNGC 1999として輝いている。

この画像中央付近に暗黒雲があるが、これは「ボク小球(Bok globule)」と呼ばれるものの1つだ。アリゾナ大学の天文学者Bart Bok氏の名にちなんでそう呼ばれている。これは、ガスや分子やチリから成る低温雲で、濃厚なため光を通さない。天文学者は、新しい星はボク小球の中で誕生すると信じている。

この画像は1999年12月、修理後のハッブル望遠鏡の広視野/惑星カメラ2(Wide Field Planetary Camera 2, WFPC2)による撮影。ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した美しい画像をまとめて後世に残そうというハッブル・ヘリテージ・プロジェクトの一環として撮影、公開されたものだ。

画像提供: NASA/The Hubble Heritage Team (STScI)