国産ロケットH-II・8号機の打ち上げ失敗

【1999年11月15日 宇宙開発事業団】(編注:時間・場所などの数値は記者発表資料に基づく速報値である)

宇宙開発事業団は11月15日16時29分、運輸多目的衛星(MTSAT)を搭載した国産ロケットH-IIの8号機を鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げた。
しかし、第1段エンジンの燃焼の異常停止により、予定の飛行経路から大きく外れ、すべての追跡局(種子島2局、小笠原局)においてロケットからのデータ受信ができなくなったため、打ち上げ7分41秒後に指令破壊信号を送信、打ち上げは失敗に終わった。
H-IIロケットの落下地点は小笠原諸島父島の北西約150キロメートルの洋上(衛星フェアリング落下予想区域内)と予測されている(落下推定中心地点:東経約139.45度、北緯約29.43度)。
宇宙開発事業団では今回の失敗を受けて、状況把握と原因究明・対策検討を行なうため、事故対策本部を設置。また、宇宙開発委員会と技術評価部会の臨時会議が一般に公開される形で開催される(宇宙開発委員会臨時会議は11月15日21時から。また技術評価部会臨時会議は11月16日16時30分から。科学技術庁にて)。

H-IIロケット8号機は11月15日(月)16時29分00秒(JST)に打ち上げられ、打ち上げ時の地上の天候は晴れ、北北西の風(7.7m/s)、気温22.5℃であった。
リフトオフから1分31秒後に固体ロケットブースターの燃焼が終了[計画値(詳細飛行経路)では1分34秒後]、1分37秒後に固体ロケットブースター分離[同1分37秒後]、4分50秒後に衛星フェアリング分離[同4分15秒後]、3分59分後に第1段主エンジン燃焼停止[同5分46秒後]、5分22秒後に第1段・第2段分離[同5分54秒後]、5分30秒後に第2段エンジン第1回燃焼開始[同6分0秒後]、その後、7分35秒後には全系オフ、そして7分41秒後には指令破壊コマンドが送信された。

H-IIロケット8号機に搭載されている運輸多目的衛星(MTSAT)は、気象衛星「ひまわり5号」の後継機であり、また航空管制の機能をあわせもつ衛星となるはずであった(詳細はニュースページH−IIロケット8号機打ち上げのライブ中継に注目を参照)。
「ひまわり5号」は打ち上げから4年が経ち、衛星自体の延命措置が施されるにせよ、センサーの劣化が心配されることから、今回の失敗によって、今後の気象観測への影響が懸念される。

今回の打ち上げ失敗は今後の日本の宇宙開発に大きなダメージとなることは間違いない。早期原因の究明と信頼の回復が望まれる。