小惑星アーデルハイトによる恒星の掩蔽の改良予報

【1999年9月9日 佐藤 勲 氏 ONM No.467】

USNOでの6月11日から8月18日までの観測によると、9月16日(木)に起こると予報されていた小惑星(276)Adelheid(14.4等)による2重星HIP090748(8.41+8.77等)の掩蔽は、主星の掩蔽帯が20h19mごろ、西日本〜南西諸島方面、伴星の掩蔽帯が20h26mごろ、日本のどこかを通る可能性の高いことがわかりました。

主星の名目上の掩蔽帯は、済州島〜奄美大島を通っており、中国・四国・九州・沖縄方面が2σ以内の可能性圏内にあります。

伴星の名目上の掩蔽帯は、北陸〜東海地方方面を通っていますが、北海道から九州までの全域が3σ以内の可能性圏内にあり、伴星の掩蔽が日本で観測される可能性が高いことがわかりました。

小惑星の直径は122kmと推定され、伴星の掩蔽が起これば、最長11秒間にわたって5.6等の減光が起こります。 主星と伴星の離角は、148゚の方向に2".4ですので、高倍率で分離可能ですが、分離できない場合は、0.5等級程度の減光しか検出できないことになりますので、ご注意下さい。 恒星の位置は、赤経18h30m58.5s, 赤緯+01゚23'29"にあります。

掩蔽帯図
9月16日
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468×605

掩蔽帯図
9月16日
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さて、観測方法ですが、眼視観測の場合は、電話時報を受信し、時報と現象が起こった時の声を録音して、後で再生して潜入と出現の時刻を0.1秒単位で求めます。 現象を見てから声が出るまでの反応時間は、適当に見積もって補正します。 眼視観測は信頼性が低いので、近くの人とペアを組んで2人以上で観測すると、信頼性が向上します。

ビデオ観測の場合は、できればI.I.や高感度の白黒ビデオを使用し、時報を同時録音します。 周囲の星が映るような倍率で観測すると、雲の通過による減光を区別することができます。

この情報は、お近くの観測者にも伝え、なるべく多くの観測が得られるよう御協力下さい。観測報告は、現象が起こらなくても、曇っても、佐藤勲氏(satoois@cc.nao.ac.jp)まで是非御報告下さい。