重力レンズ一挙に10個とらえた!

【1999年5月13日 Space Science Update (NASA, STScI)

米国カーネギーメロン大学 の研究グループは5月13日、ハッブルスペース望遠鏡によって、これまで地上からの観測では細部の構造がよく分からなかった10個の重力レンズ候補天体を鮮明に撮影することに成功した。

ハッブル望遠鏡が捉えた重力レンズ銀河
写真は 米航空宇宙局(NASA)提供

重力レンズとは、銀河などの巨大な重力が、周囲の空間をゆがめてしまうためにつくりだす、宇宙空間の巨大なレンズのこと。銀河の真うしろにあって、見えるはずのない天体が、このレンズ効果によって銀河の周囲に浮かび上がってみえる。アインシュタインの一般相対性理論によって予言されたものであり、銀河の周囲に浮かび上がって見えるはずのリング状の像はアインシュタインリングと呼ばれている。実際には、中心部に位置する銀河の構造や後方天体との位置関係などから、周囲の像がきれいにリング状にみえることは珍しく、写真のように銀河の周囲に沿っていくつかの輝点となったり、リングの一部だけが見える場合が多い。

上の画像では、それぞれ画像の中央付近に見えるオレンジ色の部分が銀河である。その周囲には青色をした、輝点や弓状にのびる像が確認できる。これらは、銀河の後方に隠されていた一個の天体から発せられた光が、銀河の重力によって曲げられ、さまざまな形となって周囲にその姿を現したものとみられる。

くわしい情報は以下のページに公開されている。
STScI-PRC99-18, May 13, 1999

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