連休明けの夕空に双眼鏡でも見える新彗星
【1999年4月21日 IAUC7144・ 7145・ 7147】
オーストラリア・ニューソースウェールズ州のSteven Lee氏は4月16日、眼視により新彗星C/1999 H1を発見しました。発見時の明るさは9等台で、その後G. J. Garradd氏による観測では北方向にわずかに伸びた3’程度のコマが報告されています。 その後の観測から求められた、暫定的な軌道要素は以下のとおりです(IAUC 7147)。
近日点通過時刻 = 1999 July 11.421 TT 近日点引数 = 39.678 昇交点黄経 = 161.967 2000.0 近日点距離 = 0.71496 AU 軌道傾斜角 = 149.515
日付 赤経(2000.0)赤緯 地心距離 日心距離 太陽離角 明るさ 1999 時 分 度 分 AU AU 度 等 Apr.16 13 58.98 -68 23.6 0.967 1.718 121.4 9.3 18 13 26.07 -68 06.5 0.924 1.690 122.4 9.1 20 12 51.73 -67 17.7 0.884 1.662 123.2 8.9 22 12 17.71 -65 52.8 0.847 1.633 123.5 8.8 24 11 45.64 -63 49.9 0.814 1.604 123.4 8.6 26 11 16.67 -61 09.9 0.786 1.576 122.7 8.5 28 10 51.33 -57 56.1 0.762 1.547 121.4 8.3 30 10 29.62 -54 13.2 0.744 1.518 119.5 8.2 May 2 10 11.23 -50 07.3 0.732 1.490 117.0 8.1 4 9 55.73 -45 45.0 0.725 1.461 113.9 7.9 6 9 42.69 -41 13.2 0.724 1.432 110.4 7.9 8 9 31.68 -36 38.3 0.729 1.403 106.6 7.8 10 9 22.35 -32 06.2 0.739 1.375 102.6 7.7 12 9 14.41 -27 41.9 0.754 1.346 98.4 7.7
LEE彗星は4/21現在、南十字星のさらに南にあるため、日本からは見えません。今後北上して5月の連休頃から夕方の南西〜西空に姿をあらわします。東京で、日没1時間30分後の地平高度が地平線上になるのは、4月30日でほぼ真南の方角で、約1.2°ですが、この頃の明るさは8等級ほどですからまず無理でしょう。九州や沖縄など南の地方ほど観測は有利になりから国内初観測を競ってみてください。
夕方の南〜西の空でのLee彗星の動き(日没1時間30分後、東京)
その後彗星は少しずつ高度を上げます。5月2日には約5°(日没1時間30分後、以下同)、5月5日には約10°と条件はどんどんよくなります。このころ国内での眼視による初観測が期待できそうです。
夕方の空での観測可能な期間は、5月初旬〜6月下旬までの約2ヶ月間となります。地平高度が20度を越えるのは5月15〜25日ですが、18日以降は月明かりがありますので、やや見にくいかもしれません。月齢と地平高度からは、5月5日〜18日、6月2日〜15日までの期間が条件が良く、双眼鏡での観測も十分に可能となります。
朝方の北東の空でのLee彗星の動き(日出1時間30分前、東京)
その後彗星は一旦太陽に近づき、7月以降は明け方の東の空にまわります。そして、7月下旬以降は、明け方の北東の空で地平高度をどんどん上げてゆきます。しかし太陽から次第に遠ざかってゆくため、明るさも落ちてゆくことになります。