Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

星ナビ2015年1月号掲載
新しい暦と古い暦

年末が近づくと多くの人が、新年用のスケジュール帳や日記帳を買い求める。使い慣れた同型の手帳を毎年更新する人もいるが、「今度はどんな手帳にしようか」と新しいタイプを探す人には、2015年はこんな天文手帳はいかがだろうか。

「星の王子さまの天文ダイアリー2015」 は、以前紹介した「星の王子さまの天文ノート」 「星の王子さまとめぐる星ぼしの旅」シリーズの手帳版。冒頭の「カレンダー」に予定を書き、「月の満ち欠け表付き週間ダイアリー」に実際の記録(日記)をつづる、という使い方ができる。各ページに『星の王子さま』の名言とイラストが散りばめられているから、1年間王子さまといっしょに旅をしているような気持ちになれるだろう。後半は「星空と宇宙の資料」として、2015年の天文現象や季節の星空案内などが載っている。雨の日には、チャート式の「タイプ別ブックガイド」を使って、「バラ」「キツネ」「呑み助」「王子さま」から自分に当てはまるタイプを探し、推奨された本を読むのも面白そう。

一方「月のこよみ2015」 は、毎日の月齢(月の形)をわかりやすくデザインし、ひと月を見開き2ページで表したカレンダー。和紙のような手触りの風情あるカバーと、温もりのある花松あゆみさんの版画イラストが、気持ちを和ませてくれる。いつでもそばに置いて「今日の月の出は何時かな」と確認したり、立待月・居待月・寝待月を言葉通りの姿勢で待ってみたり、なんていう楽しみ方ができる。後半では、月の模様と地名・月の別名や名月について・満ち欠けと見える位置の関係などを紹介している。お月さま好きには、たまらない一冊だ。

さて、ここまで新年の暦を紹介してきたが、そもそも暦とはどうやって作られているのだろうか。それを教えてくれるのが「日本史を学ぶための〈古代の暦〉入門」 だ。暦は人間の生活と深く結びついており、とくに日本史を読み解くうえで欠かせない知識だという。この本では、暦を制作していた陰陽寮(おんようりょう)の暦道(れきどう)など、暦の歴史と役割を解説する。また、「暦をめぐる習慣」では暦が貴族社会に及ぼした時令思想や歴注(暦本に記される・七曜・干支・朔望・潮汐・二十四節気・七十二候など)についても説明している。