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金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

宇宙人類学の挑戦

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宇宙人類学の挑戦
 

  • 岡田浩樹、木村大治、大村敬一 著
  • 昭和堂 刊
  • 19.4 x 14.2cm、215ページ
  • 2014年6月
  • ISBN 978-4-8122-116-9

本書はあとがきにあるように、確かに問いかけの書である。つまり、結論が誰にもわからない未来を語った本であり、読者であるあなたが考える主人公なのだ。ともかく、人類は今やこのような先見性を必要としているのである。なぜなら、現代人は誰であろうと地球なんて狭いところではなく宇宙にいるからだ。つまり、全員(UFOという意味ではなく)宇宙人だと認識すべし。いずれほかの宇宙人とのコンタクトもあるだろうし、移住先での実生活やウィルスなどの危険との遭遇、宗教や価値観、身体的変容などの変化が今や具体的に想定されうる時代になったことが、本書を読めば必ずや想起されるはずだ。

かつてご紹介した松井孝典先生の著作にも、また近々ご紹介しようと予定している須藤靖先生の著作にも、このままの人類には未来がなく、22世紀には人類絶滅かもということがごく真面目に論じられている。例えば、人類を除く全地球動物の摂取カロリー:消費カロリー比=1:1に対し、人類平均では20:1というデータは、いずれ地上での人類飽和→宇宙移住やむなし、という未来を暗示する。警世の書であるこれをすぐさまお読みになって、ぜひご子孫たちにアドバイスなさってほしい。マーズワン財団が昨年募集した火星移住計画に、全世界で20万超の人々が応募した時代。本書テーマは避けて通れない課題なのだ。本書を熟読し、老齢の筆者の血は沸き躍ってしまった。