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金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

月の科学と人間の歴史 ラスコー洞窟、知的生命体の発見騒動から火星行きの基地化まで

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月の科学と人間の歴史 ラスコー洞窟、知的生命体の発見騒動から火星行きの基地化まで
 

  • デイビッド・ホワイトハウス 著、西田美緒子 訳
  • 築地書館
  • 412ページ
  • 978-4806715979
  • 定価 3740円

本書は気軽に(簡単に)短期間に読める本ではない。筆者は購入後、家や電車の中などを問わずメモしまくり、あれやこれやと思考し、パソコンに入力して、評者の「雑学天文大百科」(近年中に出版の可能性はゼロ)に記入し続け、読み続け、400ページあまりの完読はほぼ1か月後だった。感激しました! これほど月について、人世(人生より広い)について思考を巡らしたことはなかったからだ。

たとえば皆さんは、今から1万5000年以上前、フランス・ドルドーニュ地方ラスコーの洞窟の壁面に、プレアデス星団と牛の絵と共に、月の満ち欠けの様子が描かれていることをご存じですか。その衝撃的な写真が本書冒頭に掲示されている。その裏面にはレオナルド・ダ・ヴィンチの月面スケッチ(当然眼視による)写真も掲示されている。その次のページにはアポロ月探査機が、さらにその次にはアポロ8号飛行士撮影の有名な(何しろ人類史上初ですよ!)の「地球の出」の映像が掲示されているのだ。これらをもって、月と人間の関わり合いを考えずにおられますか?

この間には、当然ガリレオによる望遠鏡の発明という大事件が挟まっている。いわば月によって、おかしな表現だが人類の眼は新たな一歩を踏み出したのだ。天文学の大きな発展もそれに依っている。本書を読むと、その背景に月がある! と絶対に確信できますよ。

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