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Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

天体観測の教科書 星食・月食・日食観測編

表紙写真

  • 広瀬敏夫 著/相馬 充 監修
  • 誠文堂新光社
  • A5判、167ページ
  • ISBN 978-4-416-20918-9
  • 価格 2,310円

今年5月1日付の新聞朝刊に流星編と共に、本書の広告が載った。「星食や日食など天文ファンに人気がある天体現象の……」とのコピー。とすると、やっぱり評者のライフワーク「変光星」は天文ファンに人気がないのかと呆然自失。

それはともかく、評者は広告を見る二週間近く前に本書を購入し(本書評の新刊情報のおかげ)、一日二日で一気に読み終え、満足感に浸っていた。あぁ、いよいよこれで日本にもちゃんとした観測者が増加するに違いないと思ったからだ。

短波ラジオしかなかった時代に育った評者だが、日本で初めてホームビデオでアンタレスの星食を撮影したり、1967年ごろにアマチュアとして初めて光電管(1P21)を20cm反射鏡に装着して、ペルセウス座βとεの光電測光をやらしてもらったという経験がある。

しかも、時代は見事に進歩していた。タイムインサーター、音楽編集ソフトを使用したタイム測定、恒星の前を横切る小惑星の衛星検出などなど、目を見張るべき記事ばかり。ピンホールを利用した太陽画像の撮影など、やってくれますね。技術の進歩にはまったく目を見張る。それを懇切丁寧にわかりやすく説明してくれている本書に大いに感謝しよう。シャドーバンド撮影機材設置例の図なんて、さすが東京理科大学の学生さんだ! まじめにこれらの観測をスタートさせたい人は、ぜひ本書を読んでからにしよう。ただ、評者の年齢になると、資金的にも機材的にも体力的にもきついな、というのが実感だ! ルーチン・ワークだけにしておこう。

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