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金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

星座の神話伝説大図鑑

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星座の神話伝説大図鑑
 

  • グラフィオ 編
  • 金の星社
  • 21.2×15.2cm、167ページ
  • ISBN 978-4323073774
  • 価格 1,296円

本書は、外見的には子供向けの本だが、どっこい大人も楽しめるものである。もちろん、星や天文の楽しみ方を知っている本書評読者の大人が第一に、評者にはあるが…。ギリシャ神話が主となる第一章88星座の神話約100ページ、第二章世界各地の星の伝説約50ページ、全天星図6ページという構成からお判りいただけるように、相当な量をギリシャ神話以外に求めているのだ。記述も正確、絵(というかイラスト)も美しい。気軽に読める。

最近、評者は、宇宙が全世界の人類(要するに全民族)の頭の上に広がる共通のものなのに、どうしてこうも見方が色々あるのかに大きな関心を持っている。これは神話学とか宗教学、あるいは哲学の相違にも繋がるのではないかと考えているのだ。

同じ星の並びから様々な話が導き出される、例えば蠍に見る民族もあれば、漁師さんが使う釣り針に見る民族、(本書には描かれていないが)頭で担ぐしょいこ(背負子)に見ている民族もある、などなど。星座境界線が国際天文学連合によって1928年に決定され(本書107ページ記載)、恒星固有運動で越境してしまった星もぼつぼつ出始めた現在、天文学的に星座の意味が揺らぎ始めたことなども、大人ならお考えいただくきっかけになるはず。本書は、読み手の読み方に、いろいろなヒントを与えてくれる本である。ご家族でご入手戴き、ぜひ一家揃って愉しんでいただきたい良書である。

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