Location:

Book Review

金井三男金井三男さんによる書評

星ナビ星ナビ「月刊ほんナビ」に掲載の書評(原智子さん他)

編集部オンラインニュース編集部による書評

人類が知っていること すべての短い歴史(上)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Amazonで買う
人類が知っていること すべての短い歴史(上)
 

  • ビル・ブライソン 著、楡井浩一 訳
  • 新潮社 刊
  • 15×10.6cm、452ページ
  • ISBN 978-4102186213
  • 価格 810円

やや古い本だが、(今回2016年4月に同時に取り上げた)リー・ビリングズさんの本「五〇億年の孤独 宇宙に生命を探す天文学者たち」でも推薦されていたので、ここで取り上げさせて貰った。なお、本書には生物学史と凄い量の文献集を含む下巻 も同時出版されており、書店書棚に並んでいることも多いので、あわせてご購入をお勧めする。

文庫本と言っても馬鹿にする無かれ。日本ではともすれば科学書は、特に天文学書は学者(か天文アマチュア)が著述しがちだが、本書の裏表紙にあるように「化学を退屈から救い出した隠れた名著の待望の文庫化」で、著者は紀行書・歴史書・文学論などの英国在住の米人ベストセラー作家である。ともかく一見単なる歴史書と思い込んで書棚を素通りしてはいけません。歴史書ではあるが、宇宙史・生命史の本なのだ。

だって、地球とすれ違うNEOやシューメーカー・レビー彗星の木星衝突を、30頁にもわたって書いた歴史書なんて、今までにありました? 水が汚かったベネチアに暮らし、鉛鋲を打たれた樽貯蔵葡萄酒を暴飲したことが原因で失明、さらに腎臓疾患で死亡したガリレオのことは他書で知ったが、それが現代でもガソリンに多量に含まれていたことなど、知っていますか。本書で初めて知ったことは、例えばE=mc2のcがラテン語で素早さを現す言葉から来たことなど、めちゃくちゃ多数ある。上下巻合わせて900頁に達するが、ぜひ本書を時間をかけて熟読され、人間が織りなしてきた歴史を新しい角度から見つめることをお勧めします。

この本を購入する Amazonで買う