探査機ニューホライズンズ、海王星軌道を越えて冥王星へ

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【2014年8月26日 (1)(2)

ボイジャー2号の海王星探査から四半世紀を迎えた25日、探査機「ニューホライズンズ」が海王星軌道を越えた。来年7月の冥王星接近に向け、いよいよ太陽系外縁に乗り出す。


ニューホライズンズが撮影した海王星

今年7月10日にニューホライズンズが撮影した約40億km彼方の海王星(画像中央)。左上にかすかにトリトンが見える。探査機は8月25日に海王星軌道を越え、太陽系外縁へと乗り出した。クリックで拡大(提供:NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory)

新たに復元されたトリトンの地表マップ

新たに復元されたトリトンの画像。1989年8月25日にボイジャー2号が約4万kmの距離から撮影したもの。当時は北半球の大部分が夜を迎えていたので、主に南半球が写っている。ソース元では3D動画で見ることができる。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/Lunar & Planetary Institute)

2006年1月に地球を出発したNASAの探査機「ニューホライズンズ」が、8月25日(米東部時間)に海王星の軌道を越えた。地球の30倍以上も太陽から離れた彼方に広がる太陽系外縁の世界へと飛び出した探査機は、打ち上げ当時にはまだ惑星の地位にあった冥王星を目指す。

くしくもちょうど25年前、ニューホライズンズの大先輩である探査機「ボイジャー2号」が海王星とその衛星を接近通過し、初の海王星探査を行った。このたび、米・月惑星研究所では当時の画像データを元に、衛星トリトンの地表をよりくっきりと再現した画像を作成した。復元画像は1ピクセルあたり600mの高解像度で地形をよりくっきりと映し出し、色はコントラストを高めながら自然に近い印象になっている。

直径約2700kmの氷天体であるトリトンは、太陽系外縁天体だったものが海王星の重力で捕まって衛星になったと考えられている。内部の密度や表面の組成など冥王星と共通点が多いが、海王星の重力による潮汐変形で内部に熱が発生している点が大きく異なる。この熱により、ボイジャーが観測した氷火山などの地形が作られたのかもしれない。

2つの天体の異なる歴史がどのような違いを生んだか、あるいは共通点があるのか。冥王星観測との比較でこの画像が役立てられる。

ニューホライズンズが冥王星のそばを通過し史上初の探査を行うのは、2015年7月14日のことだ。チームの中にはかつて若手としてボイジャー2号に携わった研究者もいる。

「間近からとらえた海王星やトリトンの姿を初めて見た25年前、それはもう最高の気分でした」とRalph McNuttさんは振り返る。「ニューホライズンズでまたあの同じ経験を味わえるんです。今はまだ点にしか見えない冥王星や衛星がどんな風に見えてくるのか。きっとすごいことが待っていますよ」


探査機の位置と航路

天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ」では、「ニューホライズンズ」「ボイジャー」をはじめとする主な探査機の設定日時における位置や航路を表示することができます。

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