ハビタブルゾーンの巨大惑星、地球型?金星型?

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【2014年6月30日 ニューサウスウェールズ大学惑星生息可能性研究所

豪大学の研究チームが、16光年彼方の暗い星を回る惑星「グリーゼ832c」を発見した。地球の5倍以上の重さがあり、濃い大気が熱をかかえこむ金星のような「スーパービーナス」である可能性が高いという。


グリーゼ832c(想像図)と地球

グリーゼ832c(想像図)と地球。グリーゼ832cは、厚い雲に覆われた岩石惑星であった場合を想定して描かれている。クリックで拡大(提供:PHL @ UPR Arecibo)

豪・ニューサウスウェールズ大学のRobert Wittenmyerさんらが見つけたのは、つる座の方向16光年彼方にある赤色矮星グリーゼ832を36日周期で回る系外惑星「グリーゼ(GJ)832c」だ。惑星の重力で振り回される主星の、わずかな動きのぶれから検出された。

GJ 832cは主星からの距離が太陽〜地球の0.16倍前後(太陽〜水星の約40%)と、主星に近いところにある。液体の水が存在できる範囲(ハビタブルゾーン)からは外れているように思えるが、主星は太陽よりもずっと暗いので、GJ 832cはハビタブルゾーン内に収まっている。ただしGJ 832cは地球の5倍以上の重さがあり、その重力で集められた濃い大気が熱をかかえこんで灼熱の世界となっている可能性もあるという。もしそうなら、この惑星はいわば「スーパービーナス(金星の大型版)」といえる。

現在わかっている情報に基づいて、惑星生息可能性研究所(プエルトリコ)が定める「地球類似性指標」(ESI)を計算すると、GJ 832cはこれまで見つかっている中で3番目に地球に似た惑星ということになる。だが未確定である体積や大気などの数値次第では地球とは似ても似つかぬ可能性もあり、今後の確認観測が待たれる。

グリーゼ832にはもう1つ、およそ9年周期でGJ 832cよりも外側を巡る木星型ガス惑星の存在が知られている。外側に木星型惑星があり、内側のGJ 832cが実際に地球や金星のような岩石惑星とすれば、まるで太陽系のようでもあり、その点でも興味深いところだ。


ステラナビゲータで系外惑星の位置を表示

天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ」では、系外惑星が発見された恒星を星図に表示することができます。

  • 「ステラナビゲータ10」をご利用の方は、まず「ツール」メニューからデータを更新し、「恒星」ダイアログで「系外惑星をもつ恒星」の「表示」「名称」をオンにしてください。
  • 9以前のバージョンでは、「コンテンツ」メニュー→「コンテンツ・ライブラリ」から追加天体データ「系外惑星」をダウンロードして、「天体」メニュー→「追加天体」で表示をオンにしてください。

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