矮小銀河の中心にも重いブラックホール

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【2014年3月31日 NASA

多くの銀河の中心にある超巨大質量ブラックホールはどのように生まれたのか。そのヒントとして観測された矮小銀河のブラックホールが、予測よりも重いことがわかった。現在の有力説に異を唱える結果となるか、さらなる確認が待たれる。


矮小銀河NGC 4395

矮小銀河の一例として観測されたNGC 4395(赤外線像)。銀河全体で天の川銀河の1000分の1の質量しかなく、バルジ(球殻状)構造も見られないが、その中心(とくに明るい部分)には巨大質量ブラックホールが見つかっている。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech)

NASAの天文衛星「WISE」の全天赤外線観測データから、数百個の矮小銀河の中心にブラックホールが見つかった。これらのブラックホールは予測よりも重い、太陽の1000〜1万倍の質量を持つ。

矮小銀河は大規模な進化プロセスを経ていないので、宇宙初期のころの原始的な銀河と類似していると考えられる。研究では、こうした矮小銀河のブラックホールを見ることで、宇宙初期にブラックホールがどのように生まれ、現在のような太陽の数百万〜数十億倍もの質量を持つ超巨大ブラックホールに成長したのか、そのヒントを得ようとした。

矮小銀河の中心ブラックホールが意外に重いということは、現時点で広く知られる「銀河合体説」に異を唱えるものだ。この説のシナリオは、宇宙初期に銀河同士が衝突合体し、それぞれの中心ブラックホール同士も合体してどんどん重いブラックホールができていく、というものだ。だが、もし原始銀河のブラックホールが今回観測された矮小銀河のブラックホールくらいの質量があったならば、合体を経ずともすでにじゅうぶん大きいということになってしまう。

NASAジェット推進研究所のブラックホール研究者Daniel Sternさんは、「これらの矮小銀河での活動的なブラックホールの存在を確定するには、さらに調査が必要です。今回の研究は、WISEの全天データが興味深い天体をピックアップするのに有用であることを示してくれました」とコメントしている。

〈参照〉

〈関連リンク〉

〈関連ニュース〉