小惑星カリクロに環を発見、小天体として初

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【2014年3月27日 ヨーロッパ南天天文台

小惑星が恒星の前を通りすぎ恒星が隠される食現象の観測から、小惑星カリクロに環が発見された。小天体の周囲に環の存在が確認されたのは初めてのことだ。


カリクロと環の想像図

カリクロと環の想像図。クリックで拡大(提供:ESO/L. CalÇada/M. Kornmesser/Nick Risinger (skysurvey.org))

減光の様子を表したグラフ

減光の様子を表したグラフ(下のオレンジの線)。メインの減光(中央)の前後にも減光が見られるのがわかる。クリックで動画ページを表示(提供:ESO/Felipe Braga Ribas/M. Kornmesser)

小惑星カリクロ((10199) Chariklo)は、土星軌道と天王星軌道の間を約60年の周期で公転している、直径250kmほどの小天体だ。木星軌道と海王星軌道の間に分布する「ケンタウルス族」に分類される小惑星のなかでは最大の天体である。

2013年6月、このカリクロが恒星の前を横切る「小惑星による恒星食」現象が南アメリカで観測された。チリのヨーロッパ南天天文台ラシーヤ観測所など7か所で食現象が観測され、確かに星が数秒間消える様子が見られた。

しかし何よりも興味深く予想外だったのは、その食の中心の前後にも、星の減光が見られたことだ。これはカリクロの周囲に環が存在しており、その環によって星の光が遮られたということを示している。複数地点からの観測結果を合わせると、環は2本存在しており、内側の環は半径391kmで幅7km、外側の環は半径405kmで幅3kmであるとわかった。

環のある天体といえばこれまで、土星をはじめとして木星、天王星、海王星と大きな惑星しか知られていなかった。これほど小さい天体に環が見つかったのは初めてのことだ。環がどのように作られたのかは不明だが、天体同士の衝突の残骸が広がったのではないかとみられている。また、環の幅や形を保つように作用する衛星も存在しているのではないかと考えられている。