赤外線でとらえた三裂星雲

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【2014年1月31日 NASA

NASAの天文衛星「WISE」がいて座の三裂星雲をとらえた。可視光線では暗い裂け目のように見える部分が、赤外線では明るく輝いているようすが見てとれる。


WISEによる三裂星雲付近の赤外線画像

WISEが撮影した三裂星雲付近。4種類の波長の赤外線で撮影されたものを合成している。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/UCLA)

NASAの赤外線天文衛星「WISE」による、三裂星雲(M20)の画像が公開された。三裂星雲はいて座の方向約5400光年の距離にあり、天文ファンや天体写真愛好家にも大人気の天体だ。

画像中、広い範囲に緑色に見えているのは水素ガスで、三裂星雲は左下の黄色やオレンジ色の部分である。三裂星雲の愛称は、可視光線では暗い線によって星雲が3つに分かれているように見えることに由来するが、この暗い線は塵でできており、赤外線では明るく見える。そのためWISEによる赤外線画像では、3本の明るい線として黄色く見えている。

三裂星雲では星が爆発的に生まれていて「星のゆりかご」と表現されることがある。星雲では大質量星からの放射や恒星風が周囲のガスや塵を吹き飛ばしており、こうした現象によって新しい星の誕生が引き起こされると考えられている。

画像のあちこちに広がっている青い点は、さらに成長した星たちだ。星雲で生まれた赤ちゃん星たちも、やがてはこれらの星と同じような姿となるだろう。また、右上の赤い部分は、ひじょうに若い星々によって温められたガスだ。

なお、WISEは昨年末に再稼動して以来「NEOWISE」と改名し、地球近傍小惑星の観測を行っている。