系外惑星探査衛星「ケプラー」、完全復旧を断念

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【2013年8月16日 NASA

姿勢制御機構の不具合のため系外惑星探査を中断していたNASAの衛星「ケプラー」について、完全復旧を断念することが決定した。今後は、現在の状態でも可能な新たなミッションを検討する。


ケプラーの機体構造

ケプラーの機体構造。左下がリアクションホイール。クリックで拡大(提供:NASA/JPL)

NASAは15日、リアクションホイールの故障でミッションを中断していた衛星「ケプラー」の完全復旧を断念すると発表した。

2009年に打ち上げられたケプラーは、恒星の手前を惑星が通過する(トランジットする)時の減光から惑星の存在を検出する系外惑星探査衛星で、これまでに135個の系外惑星を発見している。2012年11月にメインのミッション期間を終えた後、4年間の延長ミッションが開始された。

メインミッションの期間中であった昨年7月、衛星の向きを調整する4つのリアクションホイールのうち1つが故障してしまった。その後は3つでの運用が続けられてきたが、今年5月にさらに1つが故障し、3つのリアクションホイール駆動による精密な姿勢制御が必要となる系外惑星探査は中断。少なくとも1つの復旧を目指してきたが、かなわなかった。

今後は、残る2つのリアクションホイールを使ってどのような観測を行うかの検討に入る。従来とは違った形での系外惑星探査の可能性もあるという。

本来のミッションは終了したものの、系外惑星の候補はすでに3000個以上も見つけている。これまで取得済みのデータから引き続き多くの惑星が発見されることが期待される。