アルマ望遠鏡の日本製アンテナ群が設置完了

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【2013年5月8日 アルマ望遠鏡

南米チリの大型電波望遠鏡「アルマ」で先月26日、日本が担当するアンテナ群16台のうち最後の1台が設置された。アンテナ群や受信機などシステム全体には、昨年亡くなった森田耕一郎教授の業績を称えて「モリタアレイ」の名称が付けられる。


アンテナ設置が完了し喜び合うスタッフ

アンテナ設置完了後に肩を組んで喜ぶ国立天文台および合同アルマ観測所、三菱電機のスタッフ。クリックで拡大(提供:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), O. Mendez (NAOJ))

南米チリの高地に建設されているアルマ望遠鏡は、パラボラアンテナ66台を組み合わせて1台の巨大な電波望遠鏡として観測を行う望遠鏡だ。日本は66台のうち16台のアンテナ群「いざよい」と、3種類の周波数帯を受信する受信機、相関器の開発と製造を分担している。これらのシステム全体は「アタカマ・コンパクトアレイ(ACA)」と呼ばれ、大きく広がった天体からの電波をとらえてアルマ望遠鏡の画像を鮮明かつ高精度に描き出す役割を担っている。

4月26日(チリ時間)、ACAの16台のアンテナのうち最後の1台が標高5000mの山頂施設に設置され、ACAの設置が完了した。今年3月に開所式を行い、すでに本格的な観測を始めているアルマ望遠鏡だが、今回すべてのACAアンテナがそろったことで、さらに望遠鏡の性能が向上することになる。

また今年3月のアルマ評議会で、ACAの別名を「モリタアレイ」とすることが全会一致で決定された。昨年5月にチリで亡くなった森田耕一郎さん(元 国立天文台チリ観測所教授)の名を冠したもので、日本国外に設置される望遠鏡に日本人の名前がつくのはこれが初めてとなる。森田さんは長年にわたって、複数のアンテナを組み合わせて一つの望遠鏡として動作させる「開口合成法」の研究に従事し、ACAの配列設計と天体電波画像の高画質化の研究において多大な業績を残した。

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