旧ソ連の火星探査機「マルス3号」とみられる物体を発見

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【2013年4月16日 NASA

1971年に火星に初めて降り立った旧ソ連の「マルス3号」らしき物体が、NASAの探査機の画像にとらえられた。ロシアの熱心な宇宙ファンの協力により探し出されたものだ。


マルス3号の着陸機のものと思われる部品

2007年(左)と2013年(右)に撮影した、マルス3号のものと思われる部品。上からパラシュート、逆推進ロケットと着陸機、防熱シールドとみられる。クリックで拡大と詳細な説明を表示(提供:NASA/JPL-Caltech/Univ. of Arizona)

1971年、旧ソビエト連邦は着陸機と周回機からなる探査機「マルス2号」と、同型の「3号」を火星に送り込んだ。周回機のミッションは2つとも成功したが、2号の着陸機は墜落。3号の着陸機は史上初の火星軟着陸に成功したものの、14.5秒後に通信が途絶えた。

着陸地点であるプトレマイオス・クレーターをNASAの探査機「マーズ・リコナサンス・オービター」(MRO)が撮影した画像から、かつての探査機の姿を探し出したのは、インターネットSNSでNASAの火星探査車「キュリオシティ」を応援するロシア人中心のコミュニティだ。

代表者のVitali Egorovさん(サンクトペテルブルク在住)が、部品がMROの画像上でどのように写るかをシミュレーションし、それをもとにメンバーが協力して18億ピクセルもの巨大な高解像度画像をチェックしたところ、2012年12月にそれらしきものが発見された。

Egorovさんはこのプロジェクトの狙いを「誰でも参加できる火星探査。これをみんなに知ってほしかったんです。また、現役探査機の画像を通じて数十年前の自国の歴史とつながることもできました」と話す。

コミュニティからMROチームへの連絡・提案により、2013年3月に再び同地点で撮影が行われた。このように、5年の時を経て2つの異なる条件で撮影されたのが右の画像だ。

MROの高解像度カメラを担当するAlfred McEwenさん(米アリゾナ大学)によると「別のものである可能性もゼロではない」とのこと。今後データの詳細な分析や新たな撮影で、より確実なことが明らかになっていくだろう。


ステラナビゲータでマルス3号の着陸地点を表示

天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ」では、火星面上にマルス3号など探査機の着陸地点が表示されます。

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