宇宙誕生から数億年後の時代の銀河を7つ発見

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【2012年12月14日 HubbleSite

ハッブル宇宙望遠鏡による観測で、宇宙の歴史を130億年以上さかのぼった時代の銀河が7個発見された。初期宇宙の銀河をまとまった数で観測できたのは初めてのことで、銀河の数の統計的なデータから、今につながる宇宙の重要イベント「再電離」を探る有力な手がかりが得られたことになる。


発見された遠方銀河

ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された空の一画と、その中から発見された7つの遠方銀河。図中の数字は光の波長が地球に届くまでに引き伸ばされる「赤方偏移」の度合いを表したもので、大きいほど遠方の銀河ということになる。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, R. Ellis (Caltech), and the UDF 2012)

ハッブル宇宙望遠鏡の近赤外線観測から、130億年以上前の宇宙に存在する銀河が7つ見つかった。これらの銀河は137億年前の宇宙誕生から3億5000万〜6億年後のものとみられる。その1つはわずか3億8000万年後という、これまでに発見された銀河のうちもっとも遠くのものかもしれない。

こうした初期宇宙における銀河をまとまった数で観測できたのは初めてのことで、宇宙の歴史をさかのぼるにつれて銀河の数が減るという推測に沿う結果となっている。このことは、この時代の銀河が徐々に集まって、宇宙誕生から数億年後にその放射で「再電離」が起こったとする説を裏付けるものだ。再電離とは、宇宙誕生後初めて作られた中性水素原子が、銀河などからの紫外線で再び電子と陽子に分けられ(電離し)、宇宙の暗黒時代が終わりを告げたという、宇宙の歴史における一大イベントである。

初期の銀河に含まれる恒星の放射がこの電離を起こすにじゅうぶんなものだったかどうかは、これまで議論の的になってきた。今回の研究からは、再電離は数億年以上も続き、銀河はゆっくり星や物質を生み出していったと考えられる。一瞬の劇的なイベントではなく、長期間のゆるやかなプロセスだったということだ。

この研究成果は、米カリフォルニア工科大学のRichard Ellisさんが主導するハッブル宇宙望遠鏡の超遠方観測プロジェクトによるもので、今年夏に空の特定の一区画を6週間かけて観測し、その一連の研究成果の最初のものとして発表された。

HubbleSiteのYouTubeチャンネルでは、日本時間15日午前3時からこの発表に関するWebセミナーが放映される。

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