「滋賀天文のつどい2012」開催レポート

【2012年11月29日 高橋進さん】

今年で22回目を迎える「滋賀天文のつどい」が、25日に滋賀県日野町で開催された。小学生を中心とした40人あまりの参加者が、講演会、発表会や観望会を通じて星空への思いを深め合った。


文:ダイニックアストロパーク天究館 高橋進さん

講師の安達さんと参加者の記念撮影

講師の安達誠さんと参加者の記念撮影。クリックで拡大(提供:岡文生氏)

滋賀県では1994年より、県内の天文愛好家の親睦と情報交換の催しとして「滋賀天文のつどい」を毎年秋に開催しています。今年は地域での天文普及をテーマとして、日野町公民館で開催されました。

日野町は、かつて小林義生先生のK型カメラが設置され天の川に沿ったHII領域の撮影が行われた地で、星空の美しさでは定評があります。今回の「天文のつどい」は、日野町の皆さんに星空と宇宙の魅力を知ってもらうことを通じて、天文普及の魅力と工夫を再認識する機会になればとの思いで企画されました。

「つどい」第1部の天文講演会では、京都市立大塚小学校教諭で惑星観測家としても有名な安達誠氏が「星空の楽しみ方」という演題で、ご自身が天体観測の世界に入られたきっかけや星空の魅力について楽しく話をしてくださいました。会場には小学生の人たちを中心に42人の人が集まり、安達氏の話に続いて質問などでも盛り上がりました。

第2部は県内外の天文愛好家の人による研究発表会で、「今年・来年の明るい彗星について」「星の地名をたずねて」「小中高生による太陽直径の測定」「太陽電波望遠鏡の製作」など計8件の発表と熱心な討議が行われました。

夕方からの天体観望会では、公民館の駐車場に大小10台の望遠鏡が並び、およそ70人の皆さんに月、木星、星雲星団などを楽しんでいただくことができました。

天文学の発展には天文普及は欠かせません。ただ普及というと「見せてあげる」「教えてあげる」というふうに思われがちですが、星の話をしたり望遠鏡をのぞいてもらったりすることで、私たちにとっても多くの得られるものがあります。星空への思いを深めてくれるのも天文普及です。今回の天文の集いでは見る人も見せる側も学び合える天文普及活動が行われたと感じています。