赤外線で鮮明にとらえたエータ・カリーナ星雲

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【2012年2月23日 ヨーロッパ南天天文台

チリにある大型望遠鏡(VLT)がとらえたエータ・カリーナ星雲の鮮明な赤外線画像が公開された。これまではっきりとはわからなかった星や星団が見事に映し出されている。


エータ・カリーナ星雲の赤外線画像

VLTによるエータ・カリーナ星雲の赤外線画像。今回発見された黄色い星の集団は、画像左から1/4、上から1/3の位置。クリックで拡大(提供:ESO/T. Preibisch。以下同)

赤外線(上)と可視光線(下)でとらえたエータ・カリーナ星雲

赤外線(上)と可視光線(下)でとらえたエータ・カリーナ星雲。赤外線画像では、η星(左下)や「トランプラー14」(中央の星の集団)もはっきりと映し出されている。クリックで拡大

地球からおよそ7500光年かなた、りゅうこつ座方向にあるエータ・カリーナ星雲()は、地球から最も近いところにある大質量星の誕生地であり、また生息地でもある。その中には、超新星爆発寸前のη(エータ)星のような不安定で謎に包まれた星も存在しており、星形成や若い星の研究に適した対象天体だ。

通常この星雲は可視光線で撮影されることが多いが、可視光線ではダスト(塵)の雲によって隠されてしまう部分も多い。この雲のベールを見通すために、チリにあるヨーロッパ南天天文台の大型望遠鏡(VLT)に赤外線カメラを搭載して観測が行われた。

画像1枚目は、星雲内のあちこちの領域を何百枚にもわたって撮影してモザイク合成したものだ。この星雲が赤外線でこれだけ詳細にとらえられたことはかつてなく、また、VLTがこれまで撮影した全ての画像のなかでも屈指のドラマティックな1枚といえる。

画像2枚目を見てもわかるように、可視光線(下)では見えなかった小さな星々が赤外線(上)でははっきりと映し出されている。また、紫外線を受けて輝くガス星雲に阻まれてあまりはっきりしないη星も、赤外線画像では大きく明るい星として見えている。左のあたりに見える黄色い小さな星の集団は、今回初めて発見されたものだ。

この画像から、まだ知られていない多くの新事実が発見されるものと期待される。

注:「エータ・カリーナ星雲」 りゅうこつ座(Carina)のエータ(η)星付近の星雲、の意味