世界で初めて直接撮像の系外惑星「フォーマルハウトb」は惑星ではなかった?

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【2012年1月30日 Universe Today

赤外線天文衛星「スピッツァー」の観測によると、世界で初めて直接撮像に成功した系外惑星とされていた「フォーマルハウトb」は惑星ではなく、ダストの雲である可能性があることがわかった。2018年に打ち上げ予定のジェームズ・ウェッブ望遠鏡による観測によってはっきりしたことがわかると期待される。


ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した系外惑星発見の画像

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した系外惑星発見の画像。主星の周囲のダスト(塵)のリングのゆがみが惑星の重力によるものとされている。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, and P. Kalas (University of California, Berkeley, USA))

2008年、ハッブル宇宙望遠鏡がみなみのうお座の1等星フォーマルハウト(距離25光年)の周りを回る系外惑星の直接撮像に成功したと発表された(画像)。主星の光の分析から間接的に存在を知るしかなかった惑星が、初めて直接観測できた例とされている。この惑星「フォーマルハウトb」は直径が土星かそれより少し小さく、重さは木星の3倍以下であることが予想されている。

しかし、ハッブル宇宙望遠鏡の観測では、可視光線では惑星が発見できたが、何かが見えるはずと期待された近赤外線では発見できなかった。そこで米プリンストン大学の研究チームはNASAの赤外線天文衛星「スピッツァー」で観測を行った。その結果、ハッブル宇宙望遠鏡が観測したような可視光線に対応する赤外線は観測されなかった。周囲へ重力的影響を及ぼす惑星があったとしても、撮像された光源天体とは無関係である可能性が高い。

ハッブル宇宙望遠鏡での直接撮像を発表したPaul Kalas氏は今回の研究結果に対して、「ダスト雲の可能性を指摘しているが、いくつかの理由でそれはないと思う。例えばスピッツァーは土星サイズの天体からの光をとらえる能力に欠けているし、光の特徴についても、惑星に環が存在するなら説明できるでしょう。スピッツァーのデータは歓迎しますが、その解釈には同意できませんね」と語っている。

真の「フォーマルハウトb」の存在は、2018年打ち上げ予定のジェームズ・ウェッブ望遠鏡によって確認できるかもしれない。