探査機「ドーン」、小惑星ベスタの鮮明な画像を撮影

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【2011年12月22日 NASA

12月半ばから低高度で探査を続けている探査機「ドーン」が小惑星ベスタ表面の鮮明な画像を撮影することに成功した。


各軌道で撮影したベスタの同じ領域

左から右の順に、徐々に高度を下げた軌道で撮影された小惑星ベスタ。全て同じ領域を撮影している。右端の画像中央が南緯45.5度、東経325.1度の領域を撮影している。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/UCLA/MPS/DLR/IDA。以下同)

南半球のRheasilvia盆地の画像

南半球のRheasilvia盆地

埋まったクレーターの画像

赤道域に見られる埋まったクレーター

8月に小惑星ベスタの科学観測を開始した探査機「ドーン」は、「概観観測軌道」(survey orbit)、「高高度マッピング軌道」(HAMO)での観測を終えた後、12月12日からやや楕円形の軌道を取った「低高度マッピング軌道」(LAMO)に移行して探査を続けている。HAMOは平均高度700km、1ピクセルあたりの解像度が70mであったが、LAMOでは平均高度200km、1ピクセルあたりの解像度が25m前後と、3倍近い高解像度で撮影することができる(画像1枚目)。

この高い解像力のおかげで、HAMOではぼんやりと見えていた小さなクレーターや溝のような地形もはっきりと捉えることができ、さらに色の違いも見ることができる。

2枚目の画像は南半球のRheasilvia盆地という領域を撮影したもので、暗く見えるところが若く、明るく見えるところが古いものだと考えられている。画像中央やや右上のところには、明るいところと暗いところに沿うように交差点のような十字の地形も見られる。

また、昔できたクレーターが埋まっている様子も撮影された(画像3枚目)。これは赤道の溝地形で見られるもので、南半球のRheasilvia盆地(クレーター)ができたときの衝撃で放出された物質によって作られた場所にあると考えられている。

LAMOの軌道では最低10週間の探査を行い、表面の元素組成や内部構造について探査を行う予定となっている。