銀河の色彩に見る星の分布 ハッブル撮影のArp 274

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【2011年9月7日 NASA

ハッブル宇宙望遠鏡が、2つの渦巻銀河が手を取り合っているようなArp 274の姿をとらえた。そのカラフルな姿が星々の一生と宇宙の奥行きを伝えてくれる。


ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したArp 274

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したArp 274。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, and M. Livio and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA))

腕がつながり、まるでパイクッキーのように見えなくもない2つの銀河。おとめ座の方向約4億光年の距離にある銀河NGC 5679で、2009年の「世界天文年」イベントの一環としてファン投票で選ばれ、ハッブルの撮影対象となったものだ。

2つの銀河の一部が重なったように見える姿から、特異銀河を集めたArpカタログの番号でArp 274とも呼ばれる。しかし、衝突銀河で見られるような重力による形の崩れがほとんどないことから、実際には地球からの距離は異なっていると考えられる。

左側の小さな銀河も含め、その腕の部分に斑点のように見られるピンク色の部分は、星の材料となる星雲の水素ガスが放つ赤い光だ。そのそばでは、星雲から次々に生まれた新しい若い星が青い光を放っている。

一方、それぞれの銀河の中心核では明るい星団が輝き、それを取り巻くバルジでは、年老いた星が黄色味を帯びた光を放っている。

一番右の銀河の上には2つの非常に明るい星が見えるが、これは私達の天の川銀河の中の恒星だ。直径約10万光年の天の川銀河は日常生活のレベルで考えればとてつもなく広大だが、こうして遥か遠くの銀河の姿と並べると、その中にある全てがとても身近なもののようにも思える。