6月27日、冥王星と衛星ヒドラによる恒星食の可能性

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【2011年6月13日 せんだい宇宙館

6月27日夜、冥王星とその衛星ヒドラ(Hydra)による恒星食が起こる可能性があり、観測が呼びかけられている。まだまだわからないことの多い太陽系外縁天体による食の観測は、貴重な情報をもたらしてくれる。


文:せんだい宇宙館 早水勉さん

冥王星とその衛星ヒドラによる13.6等星の食が日本で起こる可能性があり、Jay Pasachoff氏(米・ウィリアムズ大学)とマサチューセッツ工科大学(MIT)から、西はりま天文台の時政典孝研究員を通じて観測が呼びかけられています。

冥王星は言うまでもなく、かつては太陽系の惑星の一員とされていた、太陽系の外縁では最大級の準惑星です。冥王星には現在までにカロン(Charon)、ニクス(Nix)、ヒドラ(Hydra)という3つの衛星の存在が確認されています。今回の恒星食では、冥王星本体とヒドラによる恒星食が日本で観測される可能性があります。

隠される恒星「2UCAC 24676603」は、冥王星(14.0等)よりやや明るい13.6等の星で、恒星食が起こった場合には約1.0等の減光が起こります。冥王星には大気が存在しているため、減光と増光は緩やかに起こることが予想されます。

冥王星はよく研究されている天体ではありますが、太陽系の外縁という極めて遠方であるために誤差が大きいことを考慮すると、日本全国が恒星食の可能性圏内となります。非常に貴重な機会ですので、観測が可能な方はぜひご協力をお願いいたします。

現時点での予報を下記に掲載しますが、改良される可能性がありますので、必ず最新の情報をウェブサイトでご確認ください。

国内向けの情報は以下のウェブサイトで参照してください。
2011.6.27 23h18m,52m 冥王星と その衛星(Hydra) による恒星食

下記は、情報のソースとなっているMITの予報ウェブサイトです。
PH20110627 Occultation June 27, 2011

冥王星による食

■ 予測日時:
2011年6月27日 23時18分(JST)
■ 恒星:
2UCAC 24676603
等級 13.6等
位置 赤経 18h 25m 29.014s,赤緯 -18°48' 47.61"(J2000)
いて座
■ 対象天体:
冥王星
等級 14.0等
推定直径 2,800km
■ 減光等級:
約1.0等
■ 減光の継続時間:
最長 117秒 冥王星の大気による増減光時間を含む
■ 掩蔽帯:
誤差を考慮すると日本全国が可能性圏内
■ 備考:
現象時刻は±数分程度の誤差を見込んでください

冥王星の衛星ヒドラによる食

■ 予測日時:
2011年6月27日 23時52分(JST)
■ 恒星:
2UCAC 24676603
等級 13.6等
位置 赤経 18h 25m 29.014s,赤緯 -18°48' 47.61"(J2000)
いて座
■ 対象天体:
ヒドラ(冥王星の衛星)
等級 23.0等
推定直径 72km?(現時点で不確定)
■ 減光等級:
6.5等
■ 減光の継続時間:
最長3.0秒?
■ 掩蔽帯:
誤差を考慮すると日本全国が可能性圏内
■ 備考:
現象時刻は±数分程度の誤差を見込んでください

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