ハービッグ・ハローの輝きが伝える星々の産声

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【2011年3月30日 ヨーロッパ南天天文台

ヨーロッパ南天天文台のVLTが撮影した星形成領域のカラフルな画像が公開された。生まれたての星からのジェットが周囲のガスやダストとぶつかり、ハービッグ・ハロー天体が形成されているようすが見て取れる。


(NGC 6729の星生成領域の画像)

NGC 6729の星生成領域。「HH」とあるところがハービッグ・ハロー天体。クリックで拡大(提供:ESO/Sergey Stepanenko)

みなみのかんむり座の星雲NGC 6729は約400光年の距離にある星形成領域だ。比較的近いので、星生成領域を研究するのには絶好の観測対象である。

画像左上の分子雲の奥で生まれている新しい星々は、ダスト(塵)に隠されているため可視光では見えない。しかし、これらの星からは時速100万kmもの高速で物質を噴射するジェットが出ており、それが周囲のガスやダストとぶつかり影響を及ぼしている様子が見てとれる。2本の線は物質が噴射されたと考えられる方向を表しており、その線上に、衝撃によってガスやダストが弧状や斑状の光を放つ「ハービッグ・ハロー天体」が形成されているのがわかる。

画像はヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡(VLT)で撮影したもので、水素の部分をオレンジ色に、電離した硫黄の部分を青色に着色している。実際には両方とも赤色で輝くが、色分けすることにより、例えば硫黄が明るい部分(青い部分)は物質の速度が遅いところ、という風に状態の違いを把握できる。