「きぼう」、冷却水温度調整機能に異常発生

【2010年6月9日 JAXA

国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟で、日本時間(以下同様)6月5日に、熱制御用の冷却水供給温度調整機能に異常が発生した。その後の処置により、供給水温は正常値に戻っているが、原因はまだわかっていない。


国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟は、2008年8月の運用開始以降、すでに700日以上が経過した。

「きぼう」の船内実験室では、微小重力や宇宙放射線、高真空など、地上とはまったく異なる特殊な環境のもとで、生命科学や宇宙医学などの分野の実験が行われており、その成果は、暮らしを豊かにしたり、日本の産業競争力を高めたりすることなどにつながると期待されている。これまでに15の実験が完了しており、6月2日に地球へ帰還した日本人宇宙飛行士 野口聡一さんも、ISS長期滞在中に複数の実験をこなした。さらに30以上の実験が進行中または今後実施されることが決まっており、そのほか25以上の実験についても実施が検討されている。

その「きぼう」で、6月5日20時40分ごろ、熱制御用の冷却水供給温度調整機能に異常が発生した。

地上からの操作と「きぼう」の自動処置によって冗長系への切り替えが行われ、供給水温はその後正常値に戻ったが、原因はまだわかっていない。また、異常発生に伴って、曝露実験装置の一部である全天X線監視装置(MAXI)と超伝導サブミリ波リム放射サウンダ(SMILES)と呼ばれる大気観測機も地上からの操作で一時停止された。

現在MAXIは再起動し、観測を再開している。一方、SMILESは、原因の究明および4月の末に発生した不具合に対する恒久的な対策の見通しが得られ次第、内蔵されたサブミリ波受信機冷却用の冷凍機の運転が再開する予定だ。

なお、その他「きぼう」のシステム機器や実験機器に異常はなく、運用に支障がないことが確認されている。