アメリカ中西部に巨大な火球が出現

【2010年4月20日 Space.comUniversity of Wisconsin-Madison

アメリカ中西部で14日夜、巨大な火球の目撃が相次いだ。米・ウィスコンシン大学マディソン校では、翌15日朝に地元の農家の屋根に落下した隕石の破片が持ち込まれており、すでに分析が始まっている。


(火球で照らされた空の画像)

火球で照らされた空(提供:University of Wisconsin-Madison)

(隕石の破片と思われる岩石の画像)

隕石の破片と思われる岩石(提供:Jeff Miller)

米海洋大気庁(NOAA)に寄せられた目撃情報によると、14日の夜午後10時頃にアメリカ中西部のウィスコンシン州からインディアナ州、イリノイ州、ミズーリ州にかけての少なくとも7つの州にまたがる地域で、空を照らし出すような巨大な火球が西から東へと移動していく様子が見られた。

複数の動画サイトなどでは、この火球をとらえた映像が公開されており、驚くほど巨大な光の塊が周囲の雲を照らし出しながら空を横切って移動していくようすを見ることができる。

米海洋大気庁同庁への報告の中には、衝撃音がしばらく続き家や庭の木々などが揺れたというものや、地平線に到達する前に火球がばらばらになり視界から消えたという内容も寄せられている。

米・ウィスコンシン大学マディソン校の地球科学部には、15日の朝8時半ごろに発見された地元の農家の屋根に落下した隕石とみられる岩石が持ち込まれ、現在その分析が進められている。破片の大きさは約5cm×2cm、重さは7.5gで、灰色や白い色、やや赤い色をした鉱物を含んでいる。

同大学のイオン・マイクロプローブ研究室の木多紀子氏と牛久保孝行氏らは、走査型電子顕微鏡とエックス線分光計を使って表面の組成を調べた。

分析はまだ始まったばかりだが、現在までのところ、マグネシウムや鉄、および珪石を含む化合物、そのほかに鉱物としてよく知られている橄欖(かんらん)石や輝石などが特定された。そのほかにも、原始的な隕石に見られるニッケル鉄鉱石と硫化鉄も発見された。

地球科学部のJohn Valley教授は、隕石が低空でばらばらになったため、地上に落下した破片はまだほかにもあるはずだと確信しており、隕石の種類の特定などを含めた詳しい分析を行うため、ぜひ多くのサンプルを提供してほしいと呼びかけている。