カッシーニ、衛星ミマスをクローズアップ

【2010年2月18日 JPL

NASAの土星探査機カッシーニが、衛星ミマスに接近通過して迫力のあるクローズアップ画像を撮影し地球へ送信してきた。これまでにない高解像度の画像には、衛星表面で大きく口を開けるクレーターの内部の起伏まで見えている。


(カッシーニによる土星の衛星ミマスの画像)

カッシーニが約70,000kmの距離からとらえた土星の衛星ミマスのRAW(未処理)画像。クリックで拡大(提供:NASA/JPL/Space Science Institute、以下同じ)

(カッシーニがとらえたハーシェル・クレーターの画像)

カッシーニが約35,000kmの距離からとらえたハーシェル・クレーターのRAW(未処理)画像。クリックで拡大

2月13日、土星探査機カッシーニが衛星ミマスに約9,500kmの距離にまで接近し、迫力のあるクローズアップ画像を撮影した。

画像には、まるで映画『スター・ウォーズ』の「死の星(デス・スター)」を思わせるミマスの姿と、その表面にある巨大な「ハーシェル・クレーター」がとらえられている。

ミマスの直径は396km。その表面にあるハーシェル・クレーターは、直径約140kmで、壁の高さが約5km、クレーター内部の深さは場所によっては約10kmにも達する。

カッシーニが撮影したクレーターの画像中、もっとも目を引くのは、その急斜面だ。氷で覆われた斜面の角度は24度ほどもある。オリンピックのダウンヒル(スキーの滑降競技)の選手なら簡単に滑れるかもしれないが、初心者向きではないことだけは確かである。

カッシーニが今回の接近通過で撮影した画像は、これまででもっとも解像度が高く、クレーター内部にあるもっと小さなクレーターまで見ることができる。

NASAのジェット推進研究所のBonnie Buratti氏は「この接近通過は、初めて顕微鏡を使って細胞やたまねぎの皮を見るようなものです。これまではただ遠くから大きなクレーターが見えるだけでしたが、今は突起物のような形をした地形や小さなクレーターなど、すべてがはっきりと見えます」と話している。