エルクロス、月面に衝突

【2009年10月15日 NASA

NASAの月探査機エルクロス(LCROSS)は、10月9日夜(日本時間、以下同様)、月面の南極にあるカベウスクレーターに衝突した。可視光では期待されたほどの閃光は確認できなかったものの、スペクトルなどの観測データが分析にかけられている。


(衛星エルクロス(LCROSS)の近赤外線カメラNIRがとらえた衝突体と衝突時の閃光)

衛星エルクロス(LCROSS)の近赤外線カメラNIRが中赤外線の波長でとらえた衝突体(左)と衝突時の閃光(右)。クリックで拡大(提供:NASA LCROSS Image Galleryの動画から切り出した静止画)

6月19日に打ち上げられたエルクロスは、113日間にわたる約90億kmの飛行を終えて、10月9日に予定どおり月面衝突実験を行った。衝突の閃光や噴煙を観測することで、月の表層に眠る物質、とくに水を検出することが期待されていた。

9日午前10時50分、月の表面から約8万6000kmの位置で衝突体が分離。まず衝突体が午後8時31分に秒速2.5kmの速度で月面に衝突、その様子を観測したエルクロス本体も、5分後に月面に衝突した。

エルクロスの主任研究員を務める、NASAエイムズ研究所のAnthony Colaprete氏は「エルクロスの観測機器はとてもよく働き、豊富なデータを届けてくれました。これで、月に関する理解も飛躍的に進歩することでしょう。研究チームはデータの海に飛び込むことにわくわくしています」と話している。

エルクロスの近赤外線カメラNIRは、中赤外線の波長で衝突時の閃光をとらえた。一方、パロマ山天文台の200インチ望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡(HST)も観測を行ったが、これまでのところ、可視光による観測では閃光や噴出物は報告されていない。エルクロスのチームは、衝突による閃光が予想よりも暗かったことを含めた観測結果を分析しているところで、水の有無を判断するには、数週間はかかる見込みだという。

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