予測よりもずっと小さかったM87銀河の外縁部

【2009年5月29日 ESO

ヨーロッパ南天天文台(ESO)のVLT干渉計が楕円銀河M87を観測した。その結果、銀河の外縁部が、予測よりずっとせまいことが明らかとなった。どうやら、銀河の外縁部はずっと以前に何かの影響を受けて、はぎとられてしまったようである。


(おとめ座銀河団の画像)

おとめ座銀河団の画像。左下の巨大な銀河がM87(黒い部分は、画像から取り除かれた、手前に位置する明るい星の位置)。クリックで拡大(提供:Chris Mihos (Case Western Reserve University)/ESO)

おとめ座銀河団は、おとめ座の方向約5000万光年の距離にあり、渦巻き銀河やM87をはじめとする大質量の楕円銀河など数百個もの銀河の集まりである。

ヨーロッパ南天天文台(ESO)のVLTがM87の観測を行ったところ、ハロー(銀河を取り囲む球状の領域)の直径が、予測よりかなり小さく、100万光年ほどであることが明らかになった。

M87を観測した研究チームの一人で、独・マックスプランク研究所のOrtwin Gerhard氏は、「これは予想外の結果です。多くのモデルによって、M87を取り囲むハローは、わたしたちが今回得た観測結果より数倍大きいことが予測されていました。銀河は、早い段階から何らかの影響を受けていたに違いありません」と話している。

観測に使われたのは、VLTに搭載されている「FLAMES」と呼ばれる高解像度の分光器である。その目的は、M87の外縁部とおとめ座銀河団中の銀河間空間における惑星状星雲の観測であった。

惑星状星雲は、太陽程度の質量を持つ星の残りかすである。その性質を調べると、銀河間空間に存在しているのか、それともハローに所属しているのかがわかる。つまり、ハローの大きさを知ることができるのである。

M87がはぎとられたように見える理由については、いくつかの可能性があげられている。たとえば、M87周辺の暗黒物質(ダークマター)の影響ではないか、または、近くにある銀河M84が10億年ほど前にひじょうに近くまで接近しためではないか、などである。現状では、どのシナリオが正しいのか確かめることはできないが、M87に存在するより多くの惑星状星雲が観測されれば、手がかりが得られるかもしれない。